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染織コース

2024年08月28日

【染織コース】サイアノタイププロセスを体験しました

皆さんこんにちは。染織コースの久田多恵です。サイアノタイププロセスとか、サイアノタイププリントという技法について、聞いたことがある方も多いでしょう。日光写真や青写真とも呼ばれます。光で印画する写真の技法です。今は実用に使われることはなく、芸術の多様な表現の一つになっています。私も作品を見たことはあったのですがやってみたことはありませんでした。体験する機会がありましたのでご紹介します。

まずは印画紙を作ります。紙に調合した感光液を刷毛で塗ります。感光液は2種類の薬品が水に溶けています。ワークショップ(体験型の講座)だったのですでに液体は作ってありました。塗りムラができないようにさっと塗って暗いところで乾燥させます。
次に持参したモチーフを印画紙の上に置き、太陽光に当てます。影ができるものや半透明のものなど持参したものを配置します。真夏の晴天だったので露光時間は3分を基準にしました。曇天の時は時間を長めにするそうです。露光する前後は印画紙にあたる光を遮断するようにスチレンボードに挟んでおきます。

露光中



そして用意しておいた水に浸します。光が当たったところは青い色になります。影になっていた部分は紙の色になります。とても鮮やかで深い青です。くっきりとシルエットが出るものは形の面白さが強調されます。半透明のモチーフ(スポイド)は半透明になるところが興味深いですね。ゆるく結んだ荷造り紐は立体的になりました。

できました!



別のモチーフでも試しました。こちらは透明な櫛や網針(あばり/魚網を編むための道具)、透ける布でできた巾着袋とクリップ、画鋲などです。金属の画鋲はくっきりと白く、透明なだるま型の画票は透明に、そして透ける布の巾着袋の透明感がとても面白い出来上がりになりました。

透明なもの不透明なもの、半透明なもの



次々に試します。スプーンやフォーク、お箸、巻き尺、カッターと鉛筆など、身近にあるものを置きました。うっすらと網目が全体に出ているのは網目のあるガラス越しに露光しているからです。外に出た方がもちろんくっきりとした仕上がりになるのですが何しろ暑いので日差しが強い時は窓越しに露光しました。光の強さで鮮やかな青になったり渋めの青になったりするのも興味深い点です。

身近にあるものたち



こちらは植物のシルエットが入っています。サイアノタイプでは何かを置いて光を遮ったところは白い紙の色になるのですが、この植物は青になっています。この部分は用意してくださっていたネガのものを使いました。ネガとはこの頃はあまり使わなくなった言葉ですね。暗いところは明るく、明るいところは暗く、明暗が逆転しているものです。植物を撮影して明暗を逆に、半透明のトレーシングペーパーに印刷したものを使いました。明暗が逆になっているブループリントの中にある植物のシルエットが不思議な印象になりました。重なっているぐにゃぐにゃしたモチーフは何だと思いますか? これはズーム会議やオンライン授業配信などで使うヘッドセット(マイク付きのイヤホン)です。頭を挟むタイプではなく耳にかけるタイプのものです。何だか不思議なシルエットですね。

植物のネガがポジになる



持ってきたものを一通り試してしまって、さて次は何を使おう・・・手を乗せてみました。両手を紙に乗せると通常は親指が内側になります。なぜ逆なのかというと、手のひら側を上にしているからです。手のシルエットは使いたいけど日焼けは避けたいですからね。ちょっと無理な体勢なので親指が浮いています。浮いているところがくっきり出ないのも面白い効果です。

両手



この右側のモヤモヤは不気味ですね。日傘をさしていたあたりの影です。

手とモヤモヤ



こちらは布を使ったものです。薬品が滲んだ跡も魅力的です。

布を試す



いくつか実験して面白さが見えてきました。実はこの技法を使ったグループ展に参加することになっていて、作品となるとどんなことができるのかもっと実験と検証が必要です。お天気の日を見計らってタイミングよく作業しなければならないので、しばらくは天気予報が気になります。機会がありましたら作品をご紹介します。

 

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