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染織コース

2024年12月17日

【染織コース】すぐに行ける世界旅行 国立民族学博物館に行ってみよう!

皆さんこんにちは。染織コースの久田多恵です。皆さんは国立民族学博物館(通称みんぱく)に行ったことはありますか? みんぱくは1970年に開催された日本万国博覧会の跡地、万博記念公園にあります。
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みんぱくは民族学、文化人類学を中心とした研究と展示を行っています。2024年で創設50周年とのことです。

多くの美術館や博物館は月曜日がお休みなのですが、みんぱくの休館日は水曜日なのです。週末に京都でのスクーリングに出席し、延泊して月曜日にどこかに行こうと思っても美術館や博物館が閉まっていて、さてどうするかと思う方もいるでしょう。そんな時はぜひみんぱくに足を運んでください。

なぜおすすめかというと、とにかく楽しくてワクワクして元気をもらえるからです。もちろんこの分野を研究している人にとって、こちらの収蔵品はお宝の山なのですが、誰にとっても幅広く収集されていてわかりやすく楽しい展示には心をつかまれてしまうのです。

館内は地域や分野ごとに分けて展示されています。中に入ったり手に取ったりできる展示もたくさんあります。少し見てみましょう。
(みんぱくの展示は特に撮影禁止の注意がないものは撮影可能です)

アフリカの布



私は染織が専門なので、やはり布類の展示には興味津々です。気候や風土、伝統などで地域ごとに布には特色が現れます。お国柄が現れたデザインや配色に見とれてしまいます。

カザフのフェルトの家



内部



こちらはカザフの移動式住居です。折りたためる骨組みに厚手のフェルト布をかけます。骨組みも美しいですね。中にも素敵な布がかかっています。

スパイダーテント



ブータン高地の夏のテントです。この布の使い方は素晴らしいですね。ヤクの毛で織った布を縫い合わせて地面に打った杭に設置します。地面との間に隙間があって涼しそうです。
ブータンは暑いのか寒いのかイメージが湧かないのですが行ってみたい国の筆頭です。

ウイグル族の衣装



鮮やかな衣装です。たて糸を染め分けて織る絣の布で作られています。おおらかな柄が素敵です。

帽子と靴



中央・北アジアの帽子と靴です。寒冷な地域では毛皮や羊毛、絹、綿などの素材を使って、暖かく、そしておしゃれな帽子と靴が作られています。

亜麻についての展示



亜麻からリネンができるまでの解説



素材といえば亜麻は昔から使われています。亜麻というと植物、布となるとリネン(亜麻布)と呼ばれます。古くはエジプトでミイラを巻くのにも使われました。リネンというと日本ではホテルなどで使われるシーツや枕カバーといった布製品の総称としてリネンと呼ぶことがあります。これらは必ずしも亜麻布というわけではなく、木綿の布がよく使われています。

立って織る織機



織機の展示もいくつかあります。これはどこの織機かメモするのを忘れました。立って織るスタイルは珍しいです。そしてたて糸を押さえることで糸を張ることができるのは興味深い!

座って織る織機



インドネシアの腰機(こしばた)です。帯状の装置を腰にまわしてたて糸を張るので後帯機(こうたいばた)とも呼ばれます。細かい幾何学模様が織り込まれています。

ウズベキスタンの織機



織り手側から見たところ



織られた部分が少し湾曲しているのはワイヤーを織り込んでいるからです。あとでワイヤーの上に乗っている糸を切ると毛足のある織物になります。日本にもこの技術は伝わっていて「切りビロード」と呼ばれています。

衣装



この技法で織られた衣装です。毛足があるので暖かく、そしてゴージャス!

大漁への願い



日本関連の展示も充実しています。こちらは「豊漁への願い」と題されています。大漁旗は知られていますが衣装にもその願いが込められています。

牛鬼



こちらは愛媛県、南予地方の祭礼に登場する牛鬼(うしおに)です。牛鬼は奇怪な獣の姿をしていて、その威を借りて悪霊を祓うのだそうです。

パン!



たくさんある展示で私が一番感動したのはこちら。パン各種です。パンを作る地域は多く、形も様々。そしてこの展示はパンが宙に浮かんでいるように見えます。パン好きにはたまらないですね。ちなみに京都府民はパン好きが多いことで知られています。

魔女ランダ



多岐にわたる展示からは生きていく人間の底力を感じます。着るもの、食べるのも、住まい、祈り… みんぱくで世界旅行をして生きるパワーをもらいましょう。

 

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