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日本画コース

2019年01月22日

【日本画コース】卒業生紹介 人生百年画

通信教育部のパンフレットでは毎年卒業生の方に直接お会いして在学時のお話をお伺いしていますが、その内容をこちらのブログでも紹介いたします。

本日は日本画コース。絵はまったくの初心者、そんな堀さんの卒業後の人生の目標は。



「先生に絵を教わるなんて、子どもの頃以来でしたから」と、100号の大作を前に照れ笑いする堀さん。「いつかは絵を習いたい」という50年来の夢を叶えるため、選んだのがこの日本画コースだった。「展覧会で見るたびに、どうやって描いているのか、不思議で、知りたくて」。仕事を離れたいまこそ、時間をかけても未知の世界に挑もうと決めた。「初心者だし、この年齢だし、ずいぶんと悩みましたが」。案ずるより産むが易し。気後れする心は、最初の授業で一瞬にして消えた。「みんな年齢も経験もさまざま、だけど志が同じだから、壁も何もないんです」。

そんな熱意あふれる仲間に囲まれ、学びについての考え方も大きく変化した。「初めは最短での卒業をめざしていたんです、体力的なことも考えて。でも先の言葉で、〝じっくり学ぶこと〞こそが自分の目標だと気づきました」。最初の頃は「丸1日かけてコップやリンゴを描くなんて」と思っていたが、描く画面が大きくなるほど、「基礎のデッサンが本制作の要になる」と実感。少しずつ意識が変わるにつれ、画も成長していった。そしてついに100号の卒業制作へ。「テキスト科目で、大画面をいちから完成させた経験が役立ちました」。

体力も気力も要る大画面、だからこそ達成感も大きい。「学生のうちに、故郷、信州の大自然を大きく描きたかったんです」。そして仕上げてみれば、達成感とともに、やり残した思いも生じる。完成は、次への一歩。「公募展をめざすのも良いけれど、何より自分のために描きたい」。勤めていた頃はつねに他人と比較され、競い合う人生を送り、ようやく人の目から自由になれたのがいまの自分。「人生100年時代、家族や仲間との交流と同様に、ひとりで生きる時間も大事にしたい。これからは、ふと思いついた時に筆を持ち、小さな画でも、生活の一部として描いていけたら」。キャンバスに描かれた故郷の山里には、そんな堀さんの心を映す、無垢な自然が広がっている。



堀 照夫さん
日本画コース(2年次編入学)’17年度卒業 長野県在住 74 歳

日本画コース|学科・コース紹介

 

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