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歴史遺産コース

2020年12月09日

【歴史遺産コース】スクーリング科目『民俗文化の調査方法』のご紹介

みなさまこんにちは、業務担当非常勤講師の伊藤陽平です。
徐々に肌寒くなってまいりましたが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。最近になって再度新型コロナウイルスが拡大してきておりますが、弊学では感染対策を徹底しつつ、いくつかの授業で対面の講義が行われています。ここでは103日、4日に東京で実施された「歴史遺産Ⅲ-2 民俗文化の調査方法」をご紹介したいと思います。

芸術学科のカリキュラムにはテキストを読んでレポートを提出し試験を受ける「テキスト科目」と、学内外で行う授業に実際に足を運ぶ「スクーリング科目」があります。

歴史遺産コースのスクーリング科目の1つである「民俗文化の調査方法」は、衣食住や信仰、芸能といった人々の日常生活の中で生み出された民具や祭礼などの民俗文化財の調査方法を学ぶ科目です。
今年は民俗学をご専門とする高久舞先生をお招きし、1日目に講義、2日目に中野区立歴史民俗資料館での課外授業を実施しました。
私は2日目の課外授業に同行しましたので、その時の様子についてご紹介いたします。

スクーリングの2日目では、当初、中野区歴史民俗資料館近くの氷川神社の祭礼の日に行われる「江古田の獅子舞」を実見する予定でした。この祭礼は、大獅子、中獅子、女獅子が笛・太鼓・ささら・唄に合わせて踊るもので、東京都無形民俗文化財に指定されている民俗芸能です。
しかし今年は新型コロナの影響で祭礼は中止になってしまいました。それでも現地に赴いたのは、中野区立歴史民俗資料館が、この「江古田の獅子舞」についてとくに充実した展示、研究がなされている施設であるからです。

午前中は学芸員の方に博物館の展示を、獅子舞を中心に解説していただきました。江古田の獅子舞は鎌倉時代から継承されてきた祭礼で、病魔を払う「祈祷獅子」として信仰されてきたそうです。館内には獅子舞の行列を描いた近世末期の『江古田獅子舞巡行絵巻』が展示されており、村の中を朱雀、青龍、玄武、白虎の四神などとともに行列を作りながら、神社に向かっていく様子が描かれていました。行列の際に掲げる大きな万燈も展示されており、大変迫力のある展示となっています。展示内容について受講生の方々から次々と質問があがり、活発に学ばれていたことが伝わってきました。

午後は獅子舞が行列で移動するルートを辿りながら、演舞を行う氷川神社に向かい、同館学芸員の方に詳しく解説をしていただきました。現地を歩いて発見できることもたくさんあるのです。

                                             

神社に向かう途中の写真です。この間にも適宜学芸員の方に解説をしていただきました。

  

町の電灯です。中に獅子が彫り込まれています。地域社会に獅子舞の祭礼が溶け込んでいることがよくわかります。

 

 

氷川神社の本殿



 

氷川神社の鳥居



神社の中には芝原(しばら)という演舞のための舞台が設けられています。ここでは祭礼当日の演舞の様子を解説していただきました。本来ならばこの周囲をぐるっと観客の方が取り囲んで大変活気のある祭礼になるのだそうです。

館内に戻ってからは、受講生の方に映像で獅子舞の実際の様子をご覧になっていただきました。高久先生から民俗調査の実際のやり方を詳しくレクチャーしていただき、映像の獅子舞の様子を調査票に書き込んでいくワークを行いました。大きく身体を揺らしながら演舞する獅子舞の姿はじつに迫力があります。

さらに学芸員の方から江古田の獅子舞が時代を経るごとに担い手の減少と老齢化に悩まされているという厳しい現実についてもお話しいただきました。
印象的だったのは、そうした現実に直面しつつも、祭礼のしきたりを柔軟に変えながら、獅子舞の伝統が継承される姿です。かつて、村の男性にのみ触れることが許された祭礼道具ですが、近年では近隣の小学生も交えながら獅子舞の行列が行われているそうです。近現代になり、住民構成も大きく変わる中でも地域社会に強靭に根付いている祭礼の姿は大変興味深いものだと感じました。

新型コロナウイルスで大きく授業内容が制限される中ではありましたが、現地を歩いてこそわかる発見があったと思います。来年は、今回の学びを生かしてぜひ実際の祭礼を拝見したいと思いました。 

 

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