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芸術教養学科

2020年12月16日

【芸術教養学科】アネモメトリを読もう!



みなさんこんにちは。芸術教養学科の下村泰史です。よろしくお願いいたします。

ネットで学びが完結するのが大きな特徴のこの芸術教養学科ですが、正規のカリキュラム以外の学びのサポートの場として、フライング・カフェといった非公式の対面学習機会も設けられてきました。しかし、この対面学習相談の場も、今般の新型コロナ感染症の感染拡大防止の観点から、オンラインに移行しています。これについては11月12日の野村朋弘先生のコラムでも触れられていましたが、今回はその試行の中で見えてきたものについて書きたいと思います。

フライング・カフェは、もともとはオフラインの学習相談会で、東京と京都で月ごとに交代で開催されるのを軸に、日本各地を行脚して行われてきました。教員と学生が直接顔を合わせ、フィールドワークや展覧会などで地域の文物に触れ、学びについての悩みを共有しアドバイスし合う、場合によってはその後は交流会へ、というのが、最も多いパターンだったと思います。学友同士が知り合い、交流する機会としても大切なものでした。

ただ、今年度になってからそういう形でのフライング・カフェは開催できていません。ご多分に漏れず、オンライン開催となっています。このオンライン化は、フライング・カフェに多くの変化をもたらしました。
一つは、参加者の激増です。オフラインのフライング・カフェでは、参加者は開催地まで実際に足を運べる人に、限られていました。しかしzoomを使用することによって、海外を含む遠隔地からの参加も可能となったからです。最近では100名前後の方が集うようになりました。
もう一つは、テーマが定められるようになったことです。従来のフライング・カフェは、見学付きだったりすることはあっても、実際に集まったメンバーの間で、創発的に展開するのが通例でした。ですから、各回必ずしも明確なコンセプトを立てて臨む、というものではありませんでした(コンセプトがある会ももちろんありましたが)。zoomによるオンラインの場合、ぼんやりと集まってもそうそううまく話が弾むわけもありません。やはり企画とファシリテーションの技術が必要になってきます。
フライング・カフェは、本来は学習相談会。その本義に立ち戻って、「学び方」を考えることを今年度は一つの軸にしました(「学び方」シリーズの他に、特定地域の文化資産に着目する「地域系」も動きつつあります)。この「学び方」シリーズの回を重ねる中で気づいたことがあります。それは芸術教養学科の学科専門教育科目、芸術教養学科のコアの学びへの案内の道筋についてのことでした。

本学科を志す方は年齢、現在のお立場、動機とも、本当にさまざまです。その中には芸術に興味のある、あるいは芸術が好きだと、いう方も多くいらっしゃいます。もちろん本学科でも「芸術史講義」といった、古今東西の美術、上演芸術について学ぶことのできる科目を受講することはできますし、そうした芸術を見つめ考える方法が本学科の専門にも関わってくることは間違いありません。しかし、学びを進めて芸術教養学科の学科専門教育科目に手をつけると、「あれ?」と思う方も少なくないようなのです。それは、芸術教養学科の学科専門教育科目の取り扱い対象が、幅広い人間の創造全般に及ぶもので、「いわゆる芸術作品」「いわゆる芸術家」を扱うことが少ないからのようなのです。「芸術が学びたくて」と考えてきた人ほど、そうした戸惑いはあるかもしれません。

zoomフライング・カフェで「学び方」シリーズを始めたとき、新入学者の参加が多かったこともあり、最初に多く話題に上がったのは、やはりレポートの書き方や資料の探し方などの、学び方の基本でした。数回目に「学科専門教育科目」をテーマにしたときに、「ぴんとこない」「まだ身近に感じられない」といった反応が一部にありました。これに対して私たちは、この学科で学び始めた人たちに、芸術教養学科らしさ、その本質の部分を早い時点で認識してもらう必要性を感じました。

そこで試行したのが、本学科が発行しているwebマガジン「アネモメトリ」をみんなで読む、というものでした。この「アネモメトリ」の特集記事では、アートプロジェクトから、マルシェや市、地域でのささやかな試みまで、内外の創意に富んだプロジェクトが取り上げられています。それらは必ずしも既知の「芸術」の形はとっていないように見えるのですが、人々の創造的な精神の結晶には違いないものなのです。そしてそれこそ芸術教養学科の学びの対象なのです。
この「アネモメトリ」の特集記事をピックアップして読む、というのをzoomフライング・カフェで実施してみたところ、なかなかの好評を得ました。学びの道筋の先にどんなものが待っているのか、具体的に伝わったようでした。
この「アネモメトリ」をみんなで読む、というのは芸術教養学科のエッセンスを伝える上で、かなり効果があることがわかり、最近では志願者向けの一日体験入学(やはり今年度からはzoomを用いたもの)でも試行してみましたが、こちらも手応えのあるものでした。

というわけで、今回みなさんにお伝えしたいのは、この「アネモメトリ」を是非ご覧いただきたい、ということです。「アネモメトリ」の特集記事では、多くの興味深い実践例が紹介されています。そしてそれらの多くは、地域の風土の中で生き生きと試みられているものです。
学びがネット上ですべて完結するのが芸術教養学科の特徴ですが、同時に芸術教養学科の学びは、地域や暮らしの現場で活きる、実践的なものでもあるのです。

webマガジン「アネモメトリ」を是非お読みになって響くところがあったら、もうあなたはわたしたちの仲間なのだと思います。よろしくお願いいたします。

秋の一日体験入学で取り上げ、大きな反響のあった特集記事『自分でつくる公共 グランドレベル=1階の試み2 「私設公民館」喫茶ランドリー 東京・森下』より



 1月の「冬のオンライン1日体験入学」では、今回ご紹介したweb マガジン「アネモメトリ」の記事をみんなで読みながら、芸術教養の視点と方法、特に「時間のデザイン」「空間のデザイン」「編集」「コミュニティ運営」について考える体験授業を行います。芸術教養学科の学びに興味がある方、入学をご検討中の方はぜひご参加ください。以下の説明会特設サイトから参加申込をしていただけます。

\参加申込受付中!/
「冬のオンライン一日体験入学」
1/10(日)、11(月・祝)、16(土)、17(日)



 



 

 

 

 

 

 

 

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