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芸術教養学科

2023年10月18日

【芸術教養学科】秋の卒業式に寄せて



こんにちは、芸術教養学科教員の下村泰史です。

この時期になると、私が秋の卒業式について書くのが、毎年の恒例になってきたようです。昨年は、「【芸術教養学科】秋の卒業式」、一昨年は「芸術教養学科の秋」という記事で、秋の卒業式のことを書きました。

昨年の「【芸術教養学科】秋の卒業式」は、こんな書き出しで始まっています。

昨年9月の「芸術教養学科の秋」という記事でも書いたのですが、秋は芸術教養学科にとって少々特別な季節なのです。というのは、芸術教養学科には、他の学科やコースにはない「秋入学」「秋卒業」があるからなのです。

そうなのです。そういう特別な季節を、今年も今味わっています。

今年度は、去る10月9日に秋の卒業式がありました。今年は97名の方が卒業されました。初めて秋卒業があった2015年の記録を見ると、8名とありますから、その頃に比べると10倍以上の人数になっています(卒業研究レポートの添削講評の作業もなかなかゴツいものでした)。
これは、秋入学に入学し数年後の秋に卒業する(秋に卒業される方は、全員秋の入学者です)、というスタイルがより多くの人たちに受けいられるようになってきていることを示しています。

入学説明会などでも、秋入学と春入学ではどちらが有利か、といった質問がよく寄せられます。学習条件などにはほとんど違いはなく、秋入学でも安心して学んでいただけるのです。それだけでなく、実際に秋に卒業された方のお話を聞くと、卒業研究の作業のピークがお仕事や暮らしの繁忙期とずれるので助かった、といった声もありました。これは生活の一年の暮らしのリズムとも関わることで、一人一人条件は違うと思いますが、そのような学びやすさが、秋入学・秋卒業にはあるようでした。



卒業される方々の声には、いつも心動かされるものがあります。卒業式の式典の時は、みなさん緊張した面持ちですし、個人的なお話はあまりできないのですが、その前後の時間や久しぶりに開催された卒業パーティ、zoomを用いたオンラインでのお祝い会などでは、そうしたお話しが出てきます。そこには、ひとりひとりにとっての学び時間の姿がうかがわれます。

家族が災厄に襲われた時も、学びがあったことで自分を保つことができた、という方もいらしゃいました。
また、芸術教養演習という、web上でディスカッションをしてレポートを磨き上げていく科目があるのですが、そこでのやりとりを通じて親しくなった学友とのエピソードなどもありました。芸術教養学科にはairUコミュニティというSNSがあり、そこで学生間の交流が行われているのですが、科目のディスカッションの中からもそうした交流が生まれているのは、とてもいいなと思いました。
また、昨年もこの時期に、卒業研究に向けて切磋琢磨する会がairUコミュニティ上の存在して、そこから素晴らしい作品が生まれてきていることを知ったのですが、今年もそうした共同的な学びの場が自主的に引き継がれていることを、パーティの場で知ることができました。これは素晴らしいことだと思います。

芸術教養学科は、ものすごく突き詰めた専門性を追求する学科ではありません。芸術の先端的な流行を追うわけでもありませんし、表現の手技を徹底的に鍛え上げるということもしません。しかし、人間の創意とはどのような現れ方をするのか、それにはどんな可能性があるのか、どんな風に関わっていくことができるのか、ということを自分ごととして思考する能力が身につきます。これは教養そのものといっていいと思いますし、また大学教育の本質であるとも思います。
そして、先に触れたように共同的な学びの場が、自然と生まれてくる土壌が熟成されてきています。こうした土壌も、本来大学にあって然るべきでありながら、追い立てる式の教育の中で忘れられてきたものではなかったかと思います。

そうした卒業生たちのお話から、この芸術教養学科は、そうした本質的な「大学らしさ」もつ有機体に育ってきているのだということが伝わってくるのは、なによりうれしいことです。

卒業式の日の夕刻には、在学生有志が実行委員会をつくって、「卒業パーティ」を催してくれました。日本全国どころか世界中に学生が分布している「完全遠隔」の学科で、こうした場ができる、ということ自体、ちょっとすごいことのような気もします。

入学や卒業といった出来事は、毎回それぞれ心を動かされるものがあります。秋にも入学と卒業があり、他の学科の倍それを味わえる、私たち芸術教養学科の教員は、幸せなのかもしれません。

芸術教養学科|学科・コース紹介

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芸術教養学科が何をするところか、なんだかよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。この授業では、実際に芸術教養学科の授業でも使われているwebマガジン「アネモメトリ」の記事(#66~68「これからの図書空間」)をみんなで読みながら、芸術教養の「まなざし」と「方法」、特に「時間のデザイン」「空間のデザイン」「編集」「コミュニティ運営」について考えます。

できれば事前に「アネモメトリ」の記事を読んでおいていただくと、いっそう理解が深まると思います。

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