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洋画コース

2021年06月02日

【洋画コース】「牛頭骨に愛を」~1年次スクーリング科目紹介~


こんにちは。洋画コース奥田輝芳です。
2021年度のスクーリングは3年次科目、卒業制作、大学院とすでに始まっていますが、いよいよ新入学生が中心となる1年次対面授業がスタートしました。
今回は、1年次スクーリング授業「洋画Ⅰ-1(牛骨鉛筆デッサン)」についてご紹介していきます。

鉛筆デッサンで観察描写を養う


洋画コースの授業は様々な創作の基本、造形の基礎学習といっても過言ではありません。絵画に限らず造形分野で人がものを作る時、誰かに何かを伝えたい時、最も原初的な方法は絵画表現です。そしてその基になる学習は観察描写です。
この授業は「牛頭骨」を鉛筆で描く実習です。教室に配置された牛頭骨を描くのですが、単に描くと言っても対象(モチーフ)をどのような視点で見る(観察)するのかが大切です。その視点を解説するところから導入は始まりました。


まず使用する素材について。今回は鉛筆と画用紙です。画用紙の上に鉛筆の芯が削れてどのように定着しているのかなど少し詳しく解説します。そして鉛筆の削り方、モチーフに当たる光と影の関係、うまく見せるための置き方、など少し踏み込んだ説明をして1時間目が終わりました。



2時間目からはデッサンです。しかしその前に画用紙にどのように入れるのか、つまり構図について考えます。たとえモチーフが一つであっても光の方向や机や台の上に落ちる影の関係から画用紙にどのように牛骨を配置するのがいいのかを考えるのです。これは将来必ず常に気にすることになる構図の学習の第一歩です。そのためにざっくりとしたクロッキーをして、木炭紙大(50×65cm)の画用紙に牛頭骨をどう配置するのかを決めます。



さて描き始めます。クロッキーを基に画用紙におおよその大きさや形、特に視点の一番端、上下左右の牛頭骨の端はどこかを考え、有機的なモチーフですが直線的な捉え方をします。細部は気にせず大きな量感を光の明暗のバランスや、最も明るいところ、最も暗いところを探します。鉛筆デッサンは繊細な線が描けますのでついつい細部が気になります。我慢して大きな明暗を目を細め取り、どんなボリュームを持ったモチーフなのかを見極めます。少しずつ細めた目を開いて行き、徐々に描き進めます。大きな面、中線(牛頭骨はおおよそ左右対称です)の位置、など構造的にモチーフを観察し少しずつ細部まで描き進めます。


ここから8~9時間画面と向き合い、モチーフをじっくり観察し、みなさんそれぞれに完成(まだまだ描けそうでしたが時間切れ)させました。



2日間のスクーリングが終了しました。腕を上げて描き続けるだけでも疲れます。人によっては立ったまま制作された方もおられました。いろいろ見つけるものがあるとデッサンにかける時間は徐々に長くなります。何度か描いていくと、目を動かさないこと、姿勢が大事であることが分かってきます。デッサンする姿勢を見るだけでその人の経験がわかります。そして、牛頭骨を見る目に愛情が備わってくれば傑作ができる事間違いなしです。



最後は合評で締めくくり。

今回の担当は西垣肇也樹先生でした。2日目は助っ人の富士篤実先生も登場して指導と合評をされました。みなさん熱心に拝聴されていました。合評は自身の作品のことだけではなく人の講評にも大切な言葉がたくさんあります。デッサンは描くことが最も重要ですが、言葉として覚える事やものの見方、探し方も発見できます。

デッサンには観察が必要です。観察は発見につながります。


発見すると嬉しくて描きたくなるのです。一つの対象から色々なものが見えてきます。普段のものの見方は、これは何か、と言う確認、そこにある事を確認するだけのことですが、デッサンするとそれがどのようなものかを理解することになります。機能は別にして、立体としての構造、重さや材質感、表面のテクスチュアー、所謂特徴を発見します。デッサンすることで今までになかったものの見方ができるようになる、つまり様々な気づきが生まれます。手元にある本一冊瓶一本、花一輪をデッサンしてもその構造や素材感を詳しく見ようとする新しいものの見方が身につきます。

見つけることの楽しさ、描くことの楽しさにどっぷりとつかる大学生活が始まりました。
今後も洋画コースのスクーリング授業を紹介していきますので、興味があるという方は今後もぜひブログをチェックしてみてください。

洋画コース 奥田輝芳

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