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2021年06月12日

【歴史遺産コース】大学の学びの基本の「き」・論文を読むことー「論文研究基礎」から「卒業研究」へむけてー

みなさん、こんにちは。歴史遺産コース教員の石神裕之です。

京都は例年よりも早い梅雨入りとなりましたが、文字通りの五月晴れの日も多く、先日は美しい梅雨の夕焼けが瓜生山から望めました!

瓜生山キャンパスから望む梅雨の夕焼



さて、今回は「卒業研究」に関わるお話です。そもそも大学での学びといえば、やはり未知の情報・知識を得ること。
では突然ですがクイズです。
Q.「京都市街地(いわゆる洛中)で一番古い寺社建造物は何でしょうか?」。

歴史遺産コースの学びでは、こうしたクイズ王になれそうな知識もあれば、「そうした建造物の修理で彩色を塗り直すことは良いことかどうか」、といった思考を必要とする学びもあります。
※ちなみにクイズの「答え」は、この記事の末尾で!

こうした知識の集積は、人生をより豊かにしてくれるものですが、ただインプットするだけではなく、やはり誰かにその知識を伝えたくなるものです。それがさらに何らかの社会への貢献につながれば、より素晴らしいことですね。

実は「卒業研究」とは、積み重ねてきたご自身の学びをアウトプットする、とても大切な作業と言えます。

芸術学科の学びでは、そのアウトプットの作業を丁寧に進めていきます。その第一歩とは「論文を読むこと」です。これは新入生のみなさんにとっても大事な学びでもあります。

おそらくこの記事をご覧の皆さんの中には、「論文と聞くだけで難しい」、と思われる方もおられれば、「論文なんて日々読んでいます」、という方まで、幅広くおられると思いますが、まさに、「まず論文を読むこと」こそ、大学での学びの根本です。

先日、この論文の読み方を学ぶ「論文研究基礎」というスクーリング授業が外苑キャンパスでありました。

外苑キャンパス



外苑キャンパスで開講された「論文研究基礎」


論文の読み方を学ぶ「論文研究基礎」


新型コロナウイルス感染症対策を徹底するため、事前配信のオンデマンド動画による学びとスクーリングによる対面授業(1日)を組み合わせた授業です。

今回はとくに緊急事態宣言下でもあり、ハイブリッド対応でキャンパスあるいは自宅で受講できる体制としましたので、遠隔会議システムのZoomにより講義に参加された学生もおられました。
※なお、昨年は新型コロナウイルス感染症のためZoomのみで講義を行いましたが、今年からは、感染症対策を徹底し、工夫を施し対面授業を再開しました。

感染症対策を徹底した「論文研究基礎」の授業風景



授業内容は、「論文の読み方」について、その基礎をまずオンデマンド動画で学んでいただきます。

そして、スクーリング授業では、予習として配信された「論文」2本を読んできて頂き、その中身についてグループワークで議論して頂き、最後にプレゼンテーションをグループごとで行うというものです。

絵巻物を題材として、学界で論争のある内容について「論文」をもとに検討していくのですが、このグループワークのなかで、高名な研究者の主張にも、実は論証が不十分な部分があったり、突飛な結論が存在したりすることが見えてきます。

論文の学術用語を調べるための辞書群



いわゆる「クリティカル・リーディング」、すなわち論文のポイントを的確に見抜いて、「批判的に物事を捉える力」を養って頂くための授業と言えます。

この授業を通じて多くの方が、文章読解の力が付いた、あるいはレポートを書く上でとても役に立った、という感想をのちに述べられています。

グループワークでの内容をZoomで参加のグループが発表する様子


「論文研究基礎」から「卒業研究」へむけて


この授業は、「卒業研究」の第一ステップにあたる授業ですが、それは大学での学びの根本を知るものでもあるのです。

そして、こうした「クリティカル・リーディング」の力をつけて、さらにご自身が興味・関心のあるテーマを見出し、さらに卒業研究の第二ステップである「論文研究」という授業へと進んでいきます。

なお、この「論文研究」はスクーリングとテキスト科目がセットになっており、さらにステップが二段階になっています。
※「論文研究I-1(スクーリング科目)」・「論文研究I-2(テキスト科目)」と「論文研究II-1(スクーリング科目)」・「論文研究II-2(テキスト科目)」。

とくにスクーリングでは、ゼミ形式で専門領域の先生や学生と討議をしつつ、テーマに関する研究を深めていきますので、ますます中身も濃くなっていきます。

そしてテキスト科目では、スクーリングでの議論を踏まえて、アウトプット、つまりご自身で「論文」を書いていくという課題に取り組んで頂きます。

こうしたステップを経て、最終段階である「卒業研究」の授業は、さらに1年をかけて研究を深め、「論文」へと仕上げていきます。

新緑の美しい外苑キャンパスのロビー



手前味噌ですが、これほど丁寧な「卒業研究」、卒論執筆の学びは、他大学の通信教育でも類を見ないものです。

卒業研究についての詳細な仕組みは、また別の機会にご説明できればと思います。

大学での学びの醍醐味である「卒業研究」。その広く、深い学びの世界に、みなさんも踏み入れてみられてはいかがでしょうか。

 

Q.「京都市街地(いわゆる洛中)で一番古い寺社建造物は何でしょうか?」
【答え】
千本釈迦堂大報恩寺本堂」(京都市上京区七本松通今出川上ル)。安貞元(1227)年に上棟され、応仁の乱など幾多の戦乱を乗り越えて現存する建造物です。昭和27(1952)年、国宝指定されています。なお京都市内での現存最古の建造物は「醍醐寺五重塔」(京都市伏見区醍醐東大路町22)です。天暦5(951)年建立で、昭和26(1951)年に国宝指定されています。
【千本釈迦堂大報恩寺】http://www.daihoonji.com
【醍醐寺】https://www.daigoji.or.jp

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