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グラフィックデザインコース

2026年09月14日

【グラフィックデザインコース】 グラフィックデザインを知る ~現場編~

こんにちは!
グラフィックデザインコース業務担当非常勤講師の福田です。
学生の皆さんが充実した大学生活を送れるよう、「まなび」の側面から陰ながらサポートさせていただいています。

今回は、グラフィックデザインに興味ある皆さまに向けて、これまでの「入門編~考察編」に続くグラフィックデザインの「現場編」として、これまでにお伝えしてきた内容とは少し視点を変え、「パッケージ」をテーマに、デザインの裏側について少しお話ししていきたいと思います。以下にこれまでのブログをリンクしておきます。ご興味があればぜひご覧になってください。

グラフィックデザインを知る ~入門編~
グラフィックデザインを知る ~基礎編~
グラフィックデザインを知る ~応用編~
グラフィックデザインを知る ~考察編~

パッケージの世界は、工業製品の頑丈な箱から、物流を支えるダンボール、そして私たちが手にするものまで、驚くほど多様です。その中でも特に私たちの日常に最も身近であり、コンビニやスーパーなどで五感を刺激する「食品・飲料」のパッケージ制作現場の裏側に焦点をあて、デザインというよりちょっとした豆知識として、ほんの一部を綴りたいと思います。

店頭などの棚に並ぶ数々の商品。私たちは無意識のうちに、そのパッケージの佇まいから「美味しそう」「安心できそう」「これ知ってる」「高級そう」といった情報を瞬時に受け取り、手に取っていると思います。価格面は置いておくとしても、デザイン視点で見るとそこには、フォント、配色、レイアウトといった表現手法から、これまでの「入門」「基礎」「応用」で触れてきたデザインの考え方があらかた詰まっています。その中でも、パッケージは、作り手と買い手をつなぐ極めてコミュニケーション性の高いツールのひとつと言えます。

■パッケージデザインの基本


食品・飲料パッケージでまず基本とされるのは、味や食感を直感的に伝える「シズル感」や、ブランドとしてブレない「視覚的統一感」です。これらは商品の味わいやコンセプトを代弁するものでなければなりません。たとえば、オーガニックな野菜やハーブティーであればアースカラーやナチュラルなクラフト紙の色合いを基調にし、濃厚なチョコレートやカカオ製品であればマットなダークブラウンやゴールドをアクセントに用いることで、口にする前の期待感を高めます。また、パッケージの顔となるロゴや商品名フォントの配置ルールを徹底し、どの角度から見ても一目で「あのブランドだ」と認識できるシンボル性を持たせることが大切です。色とフォントのトーンを揃えることで、店頭の棚でも圧倒的な存在感を放つ洗練された印象に仕上がります。この辺りはネットの情報によくある事項であり、実際の制作現場でもデザイナーやクライアントの営業部、開発室などでは当たり前のこととして共有されています。おそらく、このブログを読んでいる皆さんも「それはそうだよね」と感じられる部分ではないでしょうか。
次に重要とされる事柄として存在するのが、よく耳にする競合との「差別化」です。「差別化」は食品だけでなく他業態でも非常に複雑で、もっとも頭を悩ませるポイントです。いざ競合商品のなかで差別化を図ろうとしても、「商品名」「コンセプト」「キャッチコピー」「配色」「表現」と、デザインだけでも検討すべき要素は多様に存在します。

■共存するネーミング


差別化を考える上で、中でも「商品名」の立案は非常に重要なミッションの一つです。変にひねりすぎたり、奇をてらって複雑にしたりすると、商品の本質がかえって伝わりにくくなってしまいます。その点、本学の佐藤卓学長が手掛けたパッケージデザインとして有名な「おいしい牛乳」というネーミングは、あえて変化球を投げず、商品の本質を直球で伝える究極のシンプルさを持っています。しかし、これほど直球でインパクトあるネーミングであれば、「他社も同じような名前をつけたくなる」というのは自然な心理であり、先駆者としては対応を考える必要があります。
実際の流通商品を比較し考察してみると、一般的な購買層の視点ではあまり意識されないことかもしれませんが、「おいしい牛乳」という名を持つブランドは複数のメーカーから展開されています。プライベートブランドは例外としますが、よく目にするメーカーとして「明治」「森永乳業」「雪印メグミルク」を例に挙げてみたいと思います。(敬称は省略します)

画像出典:明治公式ホームページ、森永乳業公式ホームページ、雪印メグミルク公式ホームページ



差別化において、「おいしい牛乳」という名称が競合他社間でどのように共存しているのかという点があります。今回はブランディング戦略の深掘りは避け、商標の視点からの豆知識としてお話しします。
「おいしい牛乳」ほどの強烈なネーミングであれば本来は商標登録して独占したくなるところですが、現状として数社のブランドが存在しています。その理由は、「おいしい牛乳」という言葉自体が、誰もが使う「普通名称(一般的な表現)」に当たるため、単体では商標登録ができないという点にあります。特定の1社が独占してしまうと、他のメーカーが「この牛乳はおいしい」と言えなくなってしまい、業界全体の公正な競争に不都合が生じるためです。
例えば 、「食パン」「ブレンドコーヒー」「炭酸水」「飲むヨーグルト」なども同様にその対象となります。
このような背景があるからこそ、各社は「おいしい牛乳」という強力なフレーズをパッケージに冠したブランドを展開し、それぞれのデザインや味わいで互いに競い合っているのです。

■ブランドを守るための工夫と戦略


各社とも「おいしい牛乳」単体では商標登録できませんが、「明治 おいしい牛乳」「森永のおいしい牛乳」「雪印メグミルクおいしい牛乳」のように、自社の社名やブランド名を一体として組み合わせることで商標登録を取得しています。ユニットで商標登録することで、商品を守っています。
かなり長い時間を要し創り上げてきた商品を守るためには、個人ではなかなか整備することができないので、特許権や商標権などの知的財産に関する専門家である弁理士と緻密に協議し、さまざまな角度から商品を守る戦略をたてていくことがデザインの世界ではよくあります。
私も、弁理士の先生にはかなりご迷惑をかけながらもお世話になっています。

さわりだけ商標に触れましたが、商標登録にも多種多様な領域が存在します。今回、例にあげた各社の商標登録の種類も異なります。詳しく書き始めるとキリがありませんが、簡単に伝えると「文字の組み合わせによる登録」と「デザイン(図形等)としての登録」の大きく二つに分かれています。例えば明治の場合、「明治おいしい牛乳」という文字(結合商標)だけでなく、パッケージ正面の図形やレイアウト自体も商標登録しています。デザインそのものを登録することで、類似の模倣品が流通した際に非常に強い法的権利を有し、的確に対応することができるのが大きな強みです。
しかし、闇雲に登録内容を広げたり、手当たり次第に出願したりすると、当然ながらかなりのコストがかかります。大企業であれば自社の主要ブランドや展開する全商品に対してロゴやキャッチコピーなどを緻密に権利を押さえているため、商標の登録数でいえば数 100 件を超えることも珍しくありません。それほどまでに、自社商品の権利を確実に有することは、競合他社との差別化やブランドを長く愛され続けるために極めて重要な意味を持っているものだといえます。
少し、パッケージの表現デザインからはかけ離れた印象を持たれるかもしれませんが、この商標の仕組みこそが、各社の自然な差別化を生み出しているのかなと思います。「〇〇のおいしい牛乳」と社名を冠してアピールすることで、消費者の記憶に深く刷り込まれていくからです。売場におけるパッケージの配色やレイアウトといった視覚的な違いも大切ですが、それだけでは強力な差別化とは言い切れません。赤いパッケージの「雪印メグミルク」、紺のパッケージの「森永」といったように、味覚の記憶とブランド名が一体となって人々の心に長く残り続ける戦略なのかもしれません。

今回は、「グラフィックデザインを知る~現場編~」として、私の経験を元に代表的なパッケージを例にあげ「商標」についてだらだら語ってしまいましたが、一概に「差別化」といっても表現だけにとどまらず、商品戦略としての位置付けとしても考えられます。普段はなかなか目に見えない商標という領域に少し触れましたが、デザインをする上で知っておくと有益な事柄でもあると思いますので、参考情報として捉えてみてください。今後のデザインワークに少しでも活かせるとよいかなと思います。

■グラフィックデザインを「まなぶ」


本コースでは、グラフィックデザインの基礎からはじめ、デザインの思考から表現手法までを学べるようなカリキュラムとなっています。学びのなかで、わからないことがあっても総合窓口としてコンシェルジュ(質問フォーム)を設置しており、フォーム 相談が可能です。

また、学習でつまずかないよう、さまざまなサポート体制で問題をクリアにしていきます。

「オフィスアワー」「オープンゼミ」といったオンライン学習相談会(毎月数回定期的に開催)や airU コミュニティ(学内専用 SNS)による情報共有の場など、カリキュラムの学習以外でも大学生活を楽しみ安心して学べる環境を整えています。在校生も初心者の方からプロの方と幅広く、さまざまな視点で表現を楽しんで学びを深めています。
グラフィックデザインと向き合いたいと思っている方は、ぜひご入学を検討してみてください。

 

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