文芸領域
Creative Writing Field
自らの内にある豊かな
「言葉の世界」を
広げ、
深めて、
「言葉のプロ」を目指す。
作家になりたい方、広義のフィクション創作を本気で志す方、またエッセイ・コラム・取材記事執筆などで社会に向けた発信をめざす方など、ことばによる表現を、今後のご自身のキャリアやライフワークとしたい方を対象とした、本格的な指導の場です。
入学なさったら、ことばの表現における多様なジャンルについて専門的に学び、創作に打ち込める「クリエイティブ・ライティング・ゼミ」に所属します。このゼミで、めいめいが目指すところのジャンルについて専門家の指導を受けつつ、皆さんの内に眠っている「言葉の世界」をより豊かにし、高めて、ゆくゆくはそれぞれの道のプロフェッショナルを目指せるレベルへの到達を目指します。
この「クリエイティブ・ライティング・ゼミ」は一学年にひとつ、そしてゼミ内に物語創作や広義のライティング指導に特化した「ゼミ・グループ」が3つあります。学生の皆さんはそれぞれの志向や方向性に応じてこの3つの「ゼミ・グループ」のうちのひとつに所属します。もしも方向性が変わったり、あるいは新しいことにチャレンジしたいと思い立った時には、グループを替わることもできます。
本領域の特長
-
各ゼミでの実践的な学び
何かをことばで表現したい、と思う時、それが必ずしもひとつのジャンルや分野に限らずとも、さまざまな表現に挑戦したいと思うことのほうが、今や当たり前なのかもしれません。
本領域では、入学したらまず「クリエイティブ・ライティング・ゼミ」に所属して、その中にある3つの専門性の高いゼミ・グループで、創作と学びに取り組みます。
このゼミ・グループはそれぞれ、「物語創作」「エッセイ・コラム・取材記事執筆など非フィクション系のテクスト執筆」「コピーライティング」「ご自身のことばの表現の社会への発信」など、クリエイティブ・ライティングの各ジャンルについて幅広く深く、専門性を高めて学び、創作することができる場です。
ご自身の学びたい方向性に応じて、前期・後期の節目ごとにゼミグループを移籍することも可能です。 -
表現・発信力が身につくカリキュラム
「ことばによる、幅広いジャンルにおける表現」
「コピーライティングなど、社会の中でことばの表現を達成するためのコミュニケーション力」人生を豊かにする表現・発信力が身につくカリキュラム -
オンラインコミュニティ
地域・世代を超えて文芸を学び合う
オンラインコミュニティ
領域長メッセージ
言葉の世界の学びを通して
自分の人生を変えようとする方へ。
作家になったひとたちにそのキャリアのプロセスを尋ねると、たいてい「作家は自分で勉強して自力でなるもの」という答えが返ってきます。これまではそれでよかったのかもしれませんが、これからは、もう違います。たとえば国外では、英米をはじめとして、大学や大学院における文芸創作教育は過去数十年、真剣に追求されていて、大学院から第3世代の作家たちを輩出しているケースさえあるのです。
また、これまでの長い間、小説や映画などのジャンルでは「作者」と「作品を『客観視』する批評家」という二項対立/協働関係が、物語の価値を生み出してきました。しかし時代は変わって、出版産業自体が難局を迎えつつある今、「作者」は自らの作品世界を冷静に『客観視』し、そのありようを誰かに委ねたりせず、書き手と批評家という役割を「ひとり二役」でこなす「自立」が求められつつあります。そしてその時、「作者」たらんとするひとに必要なのは、同じ志をもって互いの作品を読み、ともに希望をもって成長してゆける、真摯な学びと創作の「場」です。
この大学院で、本気でことばの世界を目指す皆さんの指導に当たるのは、いずれも指導経験の豊富な現役作家、気鋭の評論家、コピーライター。「オンライン」の仕組みをフル活用しつつ、学生の皆さんの作品の質を実質的に向上させるため、より効果的な学習の仕組みを整えてゆきます。
これまでは自分の作品を「気が向いた時」「好きなだけ」書く、という取り組みだったのが、自作を世に問う、あるいは自分にとってより意味のある作品を書こうとする、本領域での意識的かつ実践的な取り組みを通して、よりレベルの高い作品作りを目指せます。
辻井 南青紀
1967年生まれ。早稲田大学第一文学部仏文専修を卒業後、読売新聞記者、NHK番組制作ディレクターを経て、2000年に『無頭人』でデビュー(朝日新聞社)。その後、『アトピー・リゾート』『イントゥ・ザ・サーフィン』『ミルトンのアベーリャ』『小説 蟲師』(以上講談社)、『蠢く吉原』(幻冬舎)、『結婚奉行』(新潮文庫)、『主君押込』(KADOKAWA)など、現代文学からエンタテインメントジャンルまで幅広く執筆。
教員一覧
辻井 南青紀

1967年生まれ。早稲田大学第一文学部仏文専修を卒業後、読売新聞記者、NHK番組制作ディレクターを経て、2000年に『無頭人』でデビュー(朝日新聞社)。その後、『アトピー・リゾート』『イントゥ・ザ・サーフィン』『ミルトンのアベーリャ』『小説 蟲師』(以上講談社)、『蠢く吉原』(幻冬舎)、『結婚奉行』(新潮文庫)、『主君押込』(KADOKAWA)など、現代文学からエンタテインメントジャンルまで幅広く執筆。
池田 雄一

1969年、栃木県鹿沼市生まれ。1994年に「原形式に抗して」により、第37回『群像』新人文学賞の評論部門を受賞。文芸評論家として、批評、書評、文芸時評などを執筆。著書に『カントの哲学ーシニシズムに抗して』(河出書房新社)、『メガクリティック―ジャンルの闘争としての文学』(文藝春秋)がある。また共著に『思想としての3.11』(河出書房新社)、『戦後思想の再審判―丸山眞男から柄谷行人まで』(法律文化社)などがある。これまでに早稲田大学、東京工業大学、東京大学などで非常勤講師をつとめる。また2013年から2017年にかけて東北芸術工科大学にて准教授をつとめる。現在は、法政大学、武蔵野大学、京都芸術大学で非常勤講師を、朝日カルチャーセンター新宿教室にてオンライン講座の講師をつとめている。専門領域は現代文学、美学、哲学、政治思想など。
山本隆博

家電メーカーのシャープにて、テレビコマーシャルなどマス広告の制作に従事した後、インターネットを流れ流れてSNS担当へ。ときに〝ゆるい〟と称される投稿でニュースになる日常に。フォロワー数は83万を超え、企業公式アカウントの中でも絶大な人気を誇る。シャープ退職後もアカウントは業務委託で担当し、企業コミュニケーションと広告の平和なあり方を模索している。主な受賞に第50回佐治敬三賞、2018年東京コピーライターズクラブ新人賞、2021年ACCブロンズなど。2019年「Forbes JAPAN トップインフルエンサー50人」に選ばれたことも。著書に『スマホ片手に、しんどい夜に。』(講談社)、おとなの週末webでコラム「家電としあわせ』など。
ゼミの指導内容(予定)
ゼミ・グループ指導担当教員 辻井南青紀
このWEBページをお読みくださっている皆様はきっと、「ことばで何かを表現すること」に興味や関心があるのだと思いますが、よく考えてみると、とても不思議なことに思われます。
他にも面白いことやチャレンジしたくなることが世の中にはたくさんあるのに、何かを(わざわざ)ことばにして表現し、それを誰かに読んでもらいたいという気持ちが、なぜ皆様の中に生まれたのでしょうか。それはどこか外からやって来たものなのでしょうか。
ことばの表現を本格的に志そうとしている皆様おひとりおひとりの内奥には、絶対に消えない「ともしび」のようなものがあるように思います。内側から突き上げるマグマのような、純粋エネルギーの塊です。いったいどこからやって来たのか。そもそも、なぜ自分の奥底にあるのか。ご自分でもわからない不思議な何かではないでしょうか。
ウラジーミル・プロップというロシアの民話学者が、『魔法物語の起源』という著書の中で面白いことを述べています。民話や寓話、いわゆる昔話には一定のパターンがあることを突きとめた大変面白い本なのですが、ある種類の民話には、こんな謎めいたメッセージが、結構はっきりと読み取れるのだそうです。曰く、『おまえの家の中にある/お前の知らないものを/よこせ』……いったいどういう意味なのでしょう?
このことばは、ご自身の内奥にことばの表現の謎めいた純粋エネルギーを抱いている皆様に、実はよくあてはまるキーフレーズではないかと思います。すなわち、「あなたの中にある」「あなたの知らない何か」を、なんとか「形にして」「誰かに伝えようとする」ということ。単に言いたいことを言うのでもなく、厳密には「自己表現」ですらないような、切実な何かを。
「言表(げんひょう) 」という、ちょっと硬いことばがあります。外国語ではディスクールというらしいのですが、どういう意味なのか辞書などで調べてみますと、たとえば「ことばによってなされた個々の表現」とか、あるいは「書かれたこと/言われたことなど、ことばで表現された内容の総体」……といったぐあいに、(おそらくですが)とにかくことばの表現のすべてが、そう呼ばれる対象になっているようです。
世の中には多種多様な「ことばの表現」がありますが、たとえば小説、エッセイ、インタビュー記事、紀行文などなど、どれもこれも広い意味ではこの「言表 (ディスクール) 」というカテゴリの中にすっぽり収まるのかもしれません。
この「言表 (ディスクール) 」こそが、これからの大学院文芸領域のキーフレーズになります。諸外国の大学や大学院に置かれている、クリエイティブライティングなる名称の学科やコースでは、その歴史がスタートした当初から、「ことばの表現の総体」、つまり「言表」そのものを対象として取り組む姿勢が明確だったと伝え聞きます。
この大学院文芸領域では、狭い専門性にとらわれがちだったこれまでの学びと創作の場を、より柔軟で自由なものへと一新します。学生の皆様がもっと自由闊達にさまざまな「ことばの表現」にチャレンジし、創作研究に打ち込めるような場を作ります。多様な「ことばの表現」を包摂して、多角的に学び創作に打ち込める場として「クリエイティブライティング・ゼミ」1ゼミ制とし、この中に3つのゼミ・グループを置いて、学生の皆様の多角的で多様な創作研究への取り組みを可能にします。
ゼミ・グループ指導担当教員 池田雄一
この「クリエイティブライティング・ゼミ」では、小説などの創作、評論、文学研究等についての実践の場を提供します。こちらで考えている理想としては、卒業時には、だれの助けがなくても、執筆活動が続けられるような状態に、みなさんのコンディションをつくりあげることです。
最終的な目標の確認。卒業時にどのような状態になっているのが理想なのかを確認したうえで、年間計画を立てます。コンディショニングの意識づけ。作品を執筆するうえで必要となるコンディションをつくりあげることを重視します。そのために1年目は、既存の文芸作品を読むことを定期的に実施する予定です。また1年目の前期に、いちど修作的な作品を書くことによって、作品を最後まで書きあげる経験をしていただきます。ゼミで最も重視しているのは、自分が書いた文章に対して、適切な判断を下せることです。自分の書いている文章が、いい方向に進んでいるのか。このまま進めていっていいのか、それとも一度たちどまったほうがいいのか。自分のイメージが読者に伝わっているのか。自分が書いたこの文章は読者にとって、どれだけの価値があるのか等々。執筆活動を続けるにあたっては、これらの判断を自分で下せるようになることが重要です。ゼミでは課題作品の講評会を定期的に実施しますが、教員や他の学生のコメントは、作者が適切な判断を下すための、貴重な判断材料だと考えてください。最も大切なのは楽しくやることです。せっかくクリエイティブな活動をするのですから、ゼミでの活動は楽しくやっていきたいと考えています。
ゼミ・グループ指導担当教員 山本隆博
「なぜ書くのか」は、創作や文芸の場でよく話題になります。
書くことを志す人が集まると、「なにをどう書くか」よりも「なんでこんなことをするのか」という、根本的な確認を互いに交換したくなるのかもしれません。
あるいは、書くことを志す人は「なぜ書くのか」という問いへのこたえは、書き続けることによってしか獲得できないと、すでに予感しているのかもしれません。
ご承知のとおり、こと表現や創作においては「やり続ける」ことが成功や円熟の鍵を握ります。「書く」ことも例外ではありません。「毎日書くこと」「書き続けること」が、存外に創作を駆動する力を持つことを、私たちは知っています。
毎日書くためにてっとり早い方法は、それを仕事にすることでしょう。仕事になってしまえば、毎日書かざるをえません。私の場合はそれでした。なぜ書くのかを知るために、「書くことを仕事にすること」を人生の視野に入れることは、ひとつの慧眼だと思います。
また、いまは「毎日書くこと」に最適化した時代ともいえるでしょう。一般にSNSと呼ばれるメディアの多くは、毎日いくらでも書ける構造を持ち、時に書いたものが多くの人目に触れる機能を備えていることは、あらためて言うまでもありません。やれ炎上だフェイクだと、SNSの功罪はさまざまに指摘されるところですが、書くことを志す人には、少なくともそこは歓迎すべき場所だと思います。
書くことを志す人にとって「なぜ書くのか」は不変のテーマである一方、「読まれ方」は激変しました。かつて「書いたもの」は応募されてなんらかの賞を獲るか、出版社や編集者の審査を経る必要がありました。つまり限られた発表の場をめぐって、書く人は権威をまとう必要があったのです。しかしインターネットは私たちに「発表する場」を目の前に用意しました。SNS以降はだれでも発表できる場そのものを無数に産んでいます。いまや場(メディア)は、みんなのものになったわけです。
しかし私たちはこの変化を朗報と喜ぶだけではいられません。どの場に作品を乗せ、どう発信するかを、作り手が考えなければいけないからです。かつては権威と引き換えに、出版社や編集者が肩代わりしてくれた仕事が、いまや私たちを待ち構えています。
つまり「読まれ方」を考えることも、書くことを志す人の創作活動に入るようになったと、私は考えています。読まれる場をどう作るか、読まれる機会をどう広げるかまで、いまや創作の範疇が広がっているのです。
以上のようなことを考えながら、1年ないし2年を通して、書き続ける実践によって、各人の「なぜ書くのか」を発見することを、一緒に目指してゆきましょう。
非常勤講師 紹介
岡英里奈
(おか・えりな)

作家、編集者。1995年、大阪府生まれ。2016年、小説「カラー・オブ・ザ・ワールド」で第22回三田文学新人賞佳作受賞。『すばる』『文藝』『ユリイカ』『三田文學』「図書新聞」などに寄稿。近作に「とどまる人」(『すばる』)「小さな穴と水たまり」(『小説紊乱』)など。2017年より編集者として三田文學編集部で勤務。2023年より同副編集長、京都芸術大学通信制大学院文芸領域・非常勤講師。2024年よりNHK文化センター町田の小説創作講座講師を務める。
あわい・ゆき

書評家、ライター。2000年生まれ。2022年に活動をはじめ、「小説現代」のほか、「文藝」「小説推理」「SFマガジン」「別冊文藝春秋」「産経新聞」「潮」などに寄稿。主に国内最新の純文学、大衆文学、SF、ミステリ、ライトノベル、児童小説を中心に幅広く読み、noteにも記事を公開している。
佐藤 述人
(さとう・じゅっと)

作家。1995年、東京生まれ。2018年に小説「ツキヒツジの夜になる」で第24回三田文学新人賞を受賞。他作品に「墓と園と植物の動き」(『江古田文学』)、「つくねの内訳」(『三田文學』)など。論説に「越境による境界」(『江古田文学』)など。
久村 亮介
(ひさむら・りょうすけ)

文学研究者。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程在籍。「西脇順三郎研究をはじめるまえに」(『Booklet 30 没後40年 西脇順三郎──無限の過去、無限の未来』慶應義塾大学アートセンター、2023年)など。
新保 博久
(しんぽ・ひろひさ)

ミステリー評論家。1953年、京都市生まれ。早大文学部卒。江戸川乱歩賞、横溝正史賞、日本推理作家協会賞などの予選委員・本選委員を歴任。師事する権田萬治氏との共同監修で『日本ミステリー事典』で本格ミステリ大賞を受賞したほか、『横溝正史自伝的随筆集』『シンポ教授の生活とミステリー』など編著書多数。近刊に法月綸太郎氏との往復書簡体エッセイ『死体置場で待ち合わせ』がある(2024年12月刊行予定)。
こんな方におすすめ
ことばの表現を通して、ご自身の人生を豊かにしたいと願っていらっしゃる全ての方。
ことばの表現ジャンルでの本格的な活躍を望む方
- 物語創作や各種のテクスト執筆、あるいは評論などの多様なジャンルについて、これから本格的に参入して自身の表現を社会の中で発信したいと強く願う方。
書くことで人生を豊かにしたい方
- 文学や小説にかねてから興味を持っていたが、これまでは仕事やご家庭のことが忙しくて時間がとれず、これから物語や小説について本格的に学んでみたい方。
- 文学や映画など物語が好きで、自分でも作品を書きあげたいと思っておられる方。
さまざまな「ことばの表現」に興味がある方
- 特定の文学ジャンルのみならず、フィクションではない多種多様な文章表現やその社会に向けた発表、発信に興味を持ち、自分でもやってみたいというお気持ちをお持ちの方
働きながら書きつづけたい方
- 働きながらも、自分が感じていることを形にして、広く世の中に読まれたい方。
- 独学で文学や物語を書いたり、探究したり、新人賞への応募や同人誌の活動などをしているが、「ひとりでできることには限界がある」と感じている方。
仕事に活かしたい方
- 作家や評論家、書評家など、言葉の表現の世界に進んで、仕事にしたい方。
- 作家デビュー、あるいは文章を書くキャリアをスタートさせていて、自分自身の表現をより高めたい方。
ゼミの特長
「クリエイティブライティング・ゼミ」の仕組み
入学すると、一学年にひとつの「クリエイティブライティング・ゼミ」に入り、その中にある3つの専門性の高い指導グループのうちのどれかに所属します。小説などの物語創作や評論、エッセイ、コラムなどのテクスト、あるいは社会に向けて自身の思いを発信する活動など、さまざまなジャンルを横断的に学び、実践できる仕組みがあります。学びと創作の取り組みを可能な限り自由にするために、前期や後期など期ごとにゼミ内グループを移動することも出来ます。特定の分野やジャンルのみならず、大学院の二年間のうちにいろいろなことばの表現に触れ、実力をつけることが出来る機会があります。
教員・学友との学び合い
学友同士での相互コメントやゼミグループ内の合評などに加えて、各種新人文学賞などの下読み委員レベルの若手作家、編集者、文学研究者からのアドバイスを受ける機会を設け、自身の創作について多角的な気づきを得られます。
文学を研究するのみならず、物語創作における理論と実践の両面から、専門性の高いゼミ指導を受けられます。
基礎から実践まで
小説や物語の持つ原理や法則、仕組み、構造を、基本からじっくり学べます。
自作を書きあげるために必要な技術について、実作を重ね、書き手として成長するためのヒントやきっかけ、経験を得られます。
非フィクション系のさまざまなテクスト(エッセイ、コラム、取材記事執筆など)について、実践的な学びと経験を得て、その道のプロを目指すことが出来ます。
学べる多彩なジャンル
小説、フィクションのみならず、文芸、美術、映画などの評論やエッセイ、非フィクション系のさまざまなライティングを実践的に学べます。
カリキュラム
分野特論科目ではテキスト・参考文献で学びレポート課題によるアウトプットで知識や考えを深めます。
演習科目と研究科目では2年間を通してのゼミ指導と報告書作成を重ね、最終的な修士制作・論文にまとめ上げます。
創作や編集に必要な 基礎知識と 広い視野を身に付ける 分野特論 |
「文芸領域」における物語創作・非フィクション系の各種テクスト執筆などの専門的な学びに際して、これらを習得し自らのものとするための、幅広い土台作り/基礎固めを行う。たとえば、「教員によるブックリスト」をもとに、書くために読み、幅広く学ぶ、「文芸特論Ⅰ・Ⅱ」“文芸創作のための基礎理論(純文学/現代文学編)”。あるいは「物語の原理と構造」を他ジャンルから幅広く学ぶ「文芸特論Ⅲ」、エッセイやコラム、取材記事など非フィクション系のテクスト執筆について学ぶ「文芸特論Ⅳ」など、文芸作品の執筆を準備するための基礎的な知識、ものの考え方などを会得することを目指す。広い視野から物語について考え、また最先端の問題を扱うための条件も獲得することを目的とする。 また、「文芸領域」における各種ライティングにおける基礎を学び、ゆくゆくはその道のプロとなることを模索できるようにする。 |
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制作の方向性を探る 演習 | 「文芸領域」における物語創作の専門的な学びに際して、これらを習得し自らのものとするため、通年での持続的指導と創作・制作活動を通じて、幅広い土台作り/基礎固めを行う。また、物語創作や非フィクション系の多様なテクストについて専門的に学びつつ創作を実践し、確かな実力をつけてゆく。まずはショートショートなどの短い物語から始め、ひとつの物語を最初から最後まで書く「成功体験」を得たうえで、徐々に長いストーリーを書けるようにチャレンジする。 また、非フィクション系の各種のテクスト執筆について、通年での持続的指導と執筆・制作活動支援を行ってゆく。 |
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自己のテーマをかたちにする 研究 | 1年次から各自のめざすジャンルにおける専門的な学びを保証し支援するゼミを受講する。「分野特論」および1年次のゼミでの学びを土台としつつ修了制作に取り組むことで、自らの創作・制作活動のレベルを高め、修了後にも社会的に通用するものとなるよう尽力する。年間を通じ、「修了制作の計画書提出~作品の構想~執筆~中間総括~第一稿完成~改稿~修了制作審査および合評」といったプロセスを経て、修了制作の完成までの持続的な指導を受ける。最終成果物(修了制作)は、「作品」と「制作研究ノート」の2点。 | |
研究を深化させる 研究指導科目 | ハイフレックス形式(対面または遠隔のいずれかで受講可)にて、創作研究の相互発表をおこない、自身の研究について、そのジャンルの専門家である指導教員から高度なアドバイスを受け、ゆくゆくは社会で通用するレベルにまで力をつけてゆくことを主眼とする。 |
学び方
「分野特論」科目
オンデマンド動画教材を視聴、初回提出をした後、中間講評を受け、ブラッシュアップしたものを最終提出します。
-
01
動画・テキスト等による
知識学習 -
02
初回提出
(レポート・作品等) -
03
リアルタイム配信(Zoom)
または録画による全体講評
(中間講評) -
04
最終成果に集約
「演習」「研究」科目
リアルタイムでのオンライン授業(週末1日×年間8~9回)と各自の研究・制作を並行して進めます。授業では、講義、グループワークやグループ単位でのディスカッション、作品指導などを通じて、演習および研究ゼミにおける持続的な創作・制作についての学びを高めていきます。
-
01
スクーリング(Zoom)
研究・制作の発表やディスカッション、グループワーク -
02
課題提出、Web指導など報告書や研究記録を提出、
教員からのコメント指導
年間のスケジュールモデル
(月) | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 1 | 2 | 3 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1年次 |
芸術文化論特論I、Ⅱ(各2単位) | 初回提出/中間講評/最終提出 | 初回提出/中間講評/最終提出 | ||||||||||
制作行為原論Ⅳ(2単位) | 初回提出/中間講評/最終提出 | ||||||||||||
文芸特論Ⅰ、Ⅳ(各2単位) | 初回提出/中間講評/最終提出 | 初回提出/中間講評/最終提出 | |||||||||||
文芸演習(8単位)※1 | 1日間 | 1日間 | 1日間 | 1日間 | 1日間 | 1日間 | 1日間 | ||||||
2年次 |
制作行為原論Ⅴ(2単位) | 初回提出/中間講評/最終提出 | |||||||||||
文芸特論Ⅵ(2単位) | 初回提出/中間講評/最終提出 | ||||||||||||
文芸研究(8単位)※2 | 1日間 | 1日間 | 1日間 | 1日間 | 1日間 | 1日間 |
1 基本、通年7回、ただしゼミグループによって増減の可能性はあり。
2 基本、通年6回、ただしゼミグループによって増減の可能性はあり。
演習/研究科目では、スクーリングとは別に前期末と後期末にゼミ合評会および各ゼミ成果発表会を実施予定です。
開講期は現時点(2025年10月現在)の予定のため、変更となる場合があります。
説明会情報
文芸領域 説明会(オンライン)
文芸領域のカリキュラム・学び方について教員が解説します。参加者はカメラ・マイク不要の視聴型説明会です。質疑応答コーナーでは、チャット機能で質問・相談ができます。
説明会の内容
- 領域教員によるカリキュラム説明
- 出願案内
- 質疑応答
開催日程
- 2025年10月29日(水)19:00-20:30
- 2025年11月13日(木)19:00-20:30
- 2025年12月17日(水)19:00-20:30
- 2026年1月20日(火)19:00-20:30
未経験の方も大学で基礎から学び、最短4年で修士取得できます。
大学、短期大学、専門学校等をすでに卒業している方は、京都芸術大学通信教育部(大学)に3年次編入学ができるため、最短2年間で専門分野の基礎を身に付けられます。大学入学から大学院修了まで、最短4年間で学ぶことができます。
また、通信教育部卒業生は大学院入学時に入学金10万円が免除されます。
文芸領域へ入学するために基礎から学びたい方は、文化コンテンツ創造学科文芸コース、アートライティングコース(下記、関連リンク参照)がおすすめです。
短編映画『トンネルの中へ』『トンネルの先』について
新しい通信制大学院文芸領域でこれから学ぶみなさんと、おそらく同じ志を掲げ、同じ心意気で、映像による「物語」を作っている若い人たちがいます。
本学芸術学部映画学科の有志グループがこのほど、文芸創作の道を志すひとを描いた短編映画を作りました。
作家をめざしながら、現実社会の中でどう生きていくか、迷いながらも自らの道を見つけようともがいている、そんなストーリーです。
登場人物はたったふたり。
アルバイトをしながら作家をめざす「都木 (つづき) 」。
一方、会社勤めで忙しく、いったんは創作から遠ざかっている「津田」。
それぞれの視点から見える世界を、静かに描いた掌編となっています。
どうぞご覧ください。
企画意図と概要
「⾃分の選択に⾃信を持つこと・・・について」
私たちは⽇々、⼩さな選択から⼤きな選択まで、様々な選択を積み重ねて⽣きています。
それは、期待と後悔の連続であるとも⾔えます。
とりわけ⼈⽣の選択において、数ある選択肢の中から何を選ぶか迷っている時は、あたかも、⾒えないトンネルの奥に向かって、なんとか⼀歩ずつ歩みを進めていくような不安があります。
たとえ⾃分で選んだはずの選択であっても、存在したはずの未来や、選んでしまった過去の⾃分を責めてしまう、そんな気持ちにとらわれることもあるのではないでしょうか。
私たちは、この映像作品を通して、ご視聴の皆様に、少しでも人生における新たな⼀歩を踏み出すきっかけを見出していただけたら、と願っています。
公園の砂場で偶然再会する、作中の主⼈公ふたりは、かつての同級生で、社会人になったばかりです。
これからどんな道を歩んでいくのかということについて、言葉にできない感情と感覚を持っていますが、久しぶりに再会しても、そのことをうまく相手に伝えることが出来ません。
そうしたことを伝える「ことば」が、見つからないのです。
このふたりが強く感じていて、なおかつ言葉にできないこれらの感情と感覚というのは、たとえば、かつての友⼈が⾃分と違う⼈⽣を歩んでいくことへの寂寥感や、これからの⼈⽣における不安、あるいは焦燥感などかもしれません。
そしてこうした気持ちは、実は今の世の中の多様な世代と状況下にある私たちが共通して持っている、普遍的な感覚であるように思います。
主人公たちと同様に、今まさに⼈⽣の選択を控えている私たち学生制作チームにとっても、この感覚は他人事ではありません。
この作品を通して、「⾃分の未来や選択に⾃信を持つ」ということのすばらしさと手ごたえを、ご視聴の皆様にお届けしたいと切に願っています。
どうぞ、ご覧ください。
京都芸術大学芸術学部映画学科卒業生 村田陽奈(原案・脚本・監督・編集担当)
『トンネルの中へ 津田編』
- 津田舞彩:齋藤 薫
- 都木杏実:園木 杏実
- 会社員:芦岡泰成
- 高校生:吉川凜、呉禾禾美
- ニュースの声:岸水小太郎、神原沙彩
- 制作:吉川凜、呉禾禾美、村田陽奈、神原沙彩
- 撮影:村田陽奈
- 録音:新井志保乃、中村葉月
- 録音助手:大江ほのか、浅野楓季、キムスビン
- 美術:吉川凜
- カラーグレーディング:神原沙彩
- 整音: 中村葉月
- 撮影協力:京都芸術大学施設課、叡山電鉄、建設局北部みどり管理事務所
- 制作協力:京都芸術大学芸術学部映画学科研究室
- 撮影指導:山本起也(京都芸術大学芸術学部映画学科教授)
- 脚本・監督・編集:神原沙彩
- 製作:通信教育課程 入学・教育開発課
- 企画・制作・監修:京都芸術大学 大学院(通信教育)文芸領域
『トンネルの先 都木編』
- 都木杏実:園木 杏実
- 津田舞彩:齋藤 薫
- 制作:吉川凜、呉禾禾美、村田陽奈、神原沙彩
- 撮影:神原沙彩
- 録音:新井志保乃、中村葉月
- 録音助手:浅野楓季、キムスビン
- 美術:吉川凜
- カラーグレーディング:村田陽奈
- 整音:新井志保乃
- 整音応援:浅野楓季
- 撮影協力:京都芸術大学施設課、叡山電鉄、建設局北部みどり管理事務所
- 制作協力:京都芸術大学芸術学部映画学科研究室
- 撮影指導:山本起也(京都芸術大学芸術学部映画学科教授)
- 原案・脚本・監督・編集:村田陽奈
- 製作:通信教育課程 入学・教育開発課
- 企画・制作・監修:京都芸術大学 大学院(通信教育)文芸領域
関連リンク
よくあるご質問
- 大学(本学通信教育部文芸コース、アートライティングコース)との違いを教えてください。
-
大学は、基礎から網羅的に文芸やアートライティングを学ぶ場です。大学院は、創作・制作テーマが決まっている方が自身にとっての確かな手本を見つけ、社会において実践力を身に付ける場です。ご自身が文芸創作およびクリティカル・ライティングジャンルにおいて、どのようなことをやりたいか、という大まかな方向性さえ決まっていれば、既存の文学部や創作系学部のご出身でなくとも大丈夫です。あたらしく創作や編集を志すひとにとっての「立ち位置」「足場」をいち早く定めることができるようなカリキュラム、そしてこれが定まったあとは自作や制作に集中できる環境を、本領域では整えています。