
和の伝統文化コース
次代へ繋ぐため、生け花の作家のキャリアに学び重ね
「そういえば、私、なんにもわかっていない」と、入学を決意した梅田さん。長年、花道を習ってきて、生け花の作家や指導者としてのキャリアもありながら、本学の和の伝統文化コースへ。「あるとき外国人学生の方々に、生け花を教える機会があったんです。すると、こちらの答えに詰まるような質問がつぎつぎと飛び出してきて」。なぜ、花道は型どおりに生けるのか?なんのために花道があるのか?自分が何十年も当たり前だと思ってきたことを、なにひとつ説明できないという事実に気づかされ、少なからずショックを受けた。「日本人として知っておきたいこと、伝えていきたいことを、あらためて学んでおこうと思ったんです」。
入学して出会ったのは、他流派の花道をはじめ、茶道、和歌など、さまざまな日本文化の”素顔“。どれも、うわべだけで知ったつもりになっていたけれど、本当の奥深さを体感できたという。なかには、現代ドラマと同じようなストーリーにワクワクするものも。「ある平安時代の歌謡に、女どうしの壮絶なバトルが描かれていて。昔の女性もたくましい!と痛快でした」。
思い込みを捨てて、まっさらな気持ちで向き合えば、色あせてみえた伝統もいきいきと輝いてくる。その豊かさにふれて、自身の意識が変わったことが、梅田さんの生ける花そのものを変えたという。「自分ではよくわからないのですが、長年の師匠や身近な方から、”別人の作品かと思った“とお褒めいただきました」。
一方で、伝統文化のすばらしさを知れば知るほど、強く気にかかることもあった。それは、次の世代に受け継がれているのか、という危機感。「自然を尊び、万物を愛でる。そんな日本の心を伝えられたら」と、お花の展覧会などの活動にいっそう力を入れるようになった梅田さん。自分らしいかたちで、かけがえのない学びのリレーを、つぎの時代へつなげていく。
梅田 美穂
和の伝統文化コース 20年度卒業
山梨県在住 53歳