
和の伝統文化コース
高校から。未知の伝統文化を学び新しい自己を発見
「ここなら、自分の本当に好きなことを見つけられる」。高校を出たばかりの齋藤さんが、迷うことなく次の進路に選んだのは、和の伝統文化コース。「一般の大学だったら、どうしてもひとつの分野を選ぶことになるでしょう。でも、正直なところ、そこまで突きつめたいものがなかったので」。進学の必要性を感じられなかったところに、家族が本コースの存在を教えてくれたという。「説明会を受けて、茶道や能楽の学びに参加。たちまち、その幅広さに引き込まれました」。
入学後は、ますますスクーリングの面白さにはまり、歌舞伎、浄瑠璃、小唄、声明など、あらゆる伝統芸能を10代にして人生初体験。「たとえば声明の授業なら、教壇に立つのは本物の僧侶。その道を極めた先生方が、実践をまじえて歴史や思想まで教えてくださるので、どの授業も印象深くて」。”伝統文化“という言葉の響きだけで”厳しくて恐そう“と思っていたのが、「授業を通して、魅力ある出会いができたおかげで、ひとつひとつの文化を身近に感じられました」と、イメージが一変。授業をきっかけに、地元で三味線や着物を学び直すなど、興味が広がるにつれ、自分の世界も広がったという。
こうして、さまざまな学びを吸収していった齋藤さん。それらを練りあげ、レポートや論文で発信することでも、これまでにない感動を味わえた。「大好きな”昭和歌謡“を取りあげた卒業研究で、思いがけず賞をいただいて」。一般的な伝統文化とはかけ離れているし、きっとだれも興味を持ってくれない。そんな迷いを抱えながらも、情熱を注いだ論文が評価され、「自分が思ったとおりにすすんで、いいんだ」という大切な自信をもらえた。「いまは、地元の古書店に勤めながら、子育て支援施設をお手伝い。子どもたちに、いろんな文化を体験する面白さを伝えられたら」と話す齋藤さん。未知の伝統文化を学んで見つけたのは、これからの新しい自分自身でもあった。
齋藤 春花
和の伝統文化コース 21年度卒業
長野県在住 22歳