
文芸コース
学問的なバックボーンを、ライター業に活かす
「大学での数年間は、自分の生きてきた意味を確かめる旅だったのかも」という関さん。入院から復帰した初仕事で、ライターとして、考えがまとまらないという恐怖に直面。これまでの自分に足りなかった「学問的なバックボーン」を補うべく入学を決めた。「シラバスを開いて、学ぶジャンルの幅広さを知り、気が遠くなりそうでした」。好きなことだけでなく、苦手な分野にも、避けて通ってきた本にも向き合わなくてはいけない。ときには、思考回路がショートしそうな難題にも。「でも、やってみたら、現役学生の頃とは違う手応えを感じました。あれ、変わってきたぞ、というような。幅が広がったような」。とはいえ、迷ってめげかけたことも数知れず。「先生方の励ましで一番効いたのは、”迷いながら最後まで書ききること“。迷うな、ではなく、迷ってもいいんだな、と」。
入学して、「考えること」や「書くこと」に対して粘れるようになった、という関さん。「これでほんとうに伝わるのか」と自問を重ねながら、書き上げたのは『本の旅は記憶の旅』という文芸批評エッセイ。「たくさんの個性的な先生方の感性に触れ、ともにがんばってきた仲間の存在に支えられ、数々のピースが組み合わさるようにして生まれた卒業研究です。”学びたい“と思ったときが新たな旅のはじまり。そして、発展途上であることを、これからも信じてすすみたいです」。

関 範子
神奈川県在住 73歳
文芸コース
20年度卒業
[大学の思い出]「芸術大学に入ったのだから、ぜひ受けてください」と入学式で壇上の先生から奨められ、挑戦したデッサンのスクーリング課題。「先生のいうとおりに進めていったら、ウソでしょと思うくらいうまくいって、思いがけずSの評価をいただきました。集中して観察する時間というのが、予想以上におもしろかったです」。