
写真コース
子育て後、視野を広げた学び。作家の道をスタート
3人の子育てを終え、いわゆる「空の巣症候群」に苦しんだ飯田さん。なんとか状況を変えるためにも、好きだった写真を学びに本コースへの入学を決心。もちろん、すぐに回復とはいかなかったものの、ある授業を通して「いまの自分を受け入れることが大事なんだ」と、あらためて納得。仲良くなった学友と会えなくなったコロナ禍でも、落ち込む気持ちを寄せつけない勢いでレポートを書きまくるなど、学びの面白さに救われるのを強く感じた。
さらに、学ぶことで考え方の基礎が身につき、文学からアートの歴史、人類学まで、幅広い学びで自分の視野が広げられた飯田さん。卒業制作を通して、「なぜ写真を通して表現するのか」「表現したいと思う自分とは何か」といった問いに向き合った。「それまで漠然と撮りつづけてきた写真について、なぜ撮るのか、何を伝えるのかなど、先生方からじっくりと考えるヒントをいただき、クオリティを上げるための的確なアドバイスも得られました」。制作中、さまざまな思考のなかで迷子になりかけたとき、それとなく光のある方向を示唆してもらえたことが忘れられないという。「卒業制作があったからこそ、完成させることができた」と語る作品は、新宿ニコンサロンで展示。その後も、京都で栄誉ある賞に輝き、さまざまな場所で作品が展示されることになった飯田さん。母を卒業した後は、ひとりの作家として、新たな道を歩みだす。
[大学の思い出]末の子の写真を使って制作した『コラージュ』の授業。細かい作業をつづけているうちに、まるで浄化されるような気持ちに。先生方から教わったところ、こうした作業は心理療法のひとつ「箱庭療法」のような効果があるそうです。