
芸術教養学科
育児と仕事とをしながら芸術教養を学ぶ
出産したとたん育児に追われ、好きな美術館にも行けなくなった瀬戸さん。久しぶりに訪れた美術展で、深く心を揺さぶられた。「この絵がどう生まれたのか、なぜ皆にも認められるのか、自分の言葉で話せるようになりたい」。そんな思いを叶えようと、探しあてたのが本学科。
「技を教える教室は多いけど、教養を学べる場は少なくて。通学も不要というこの学科は、まさに理想でした」。すぐに入学し、最初の講義動画で衝撃を受けた。「デザインはセンス、と思い込んでいたのが、実はものごとを良くする思考の結晶だと知って」。他にも建築から舞踏まで、多彩な講義を視聴するたび、自分の価値観やものの見方が広がるのを感じた。「今まで興味なかった地方の祭礼も、地元の学友から直接教わると魅力的に思えてきて」。見たいもの、訪れたい場所がどんどん増えていった。
「好きなものが増えると、楽しいですよね」。今後は芸術環境について学びたい、という瀬戸さん。「乳児連れの美術鑑賞が、もっと世間に認められるよう提案していきたくて」。自身が芸術から受け取った喜びを、人々に返せる未来を模索している
[大学の思い出]卒業研究で学科長賞を受賞。「美術史からピカソ論まで、すべての教養は身近なものを楽しく見るための知恵。そう気づいて《世田谷のボロ市》を題材に。学生だからできる取材で、主催者の創意工夫を聞き出せました」。