アーティスト育成プログラム

若手作家を社会とつなぎ、世界とつなぐアーティスト育成プログラム

CASE 01ARTISTS’ FAIR KYOTO [京都府主催]

©ARTISTS' FAIR KYOTO実行委員会 photo:前端 紗季

京都府から依頼を受けた、本学教授の椿昇がディレクターを務め、若手作家のためにマーケットを創出する機会として本展を2018年より3年連続で企画。作家自らが来場者に作品をプレゼンテーションし、作品を販売するアートフェアとしました。名和晃平、ヤノベケンジをはじめ、世界の第一線で活躍するアーティスト陣をアドバイザリーボードに迎え、若手アーティストを選出。さらに、世界最高水準のアートフェア「アート・バーゼル」のグローバル・パートナーを務めるUBS銀行が、日本で初めて特別協賛についたことで各界の注目を集めました。2019年は会場を拡大し、京都文化博物館別館と京都新聞ビル印刷工場跡での開催の他、サテライト会場5ヵ所でイベントを同時開催。2020年のメイン会場は中止となりましたが、サテライト会場は9ヵ所で展開されました。2019年は2日間で5,512人が来場し、約2,400万円を売り上げるなど、本学修了生の出展者も完売が続出し、今後の作家活動にさらなる弾みをつける姿も見られました。

市場を拡げ、アートで食べられる人を増やす。

私たちは今、アートをひとつのビジネスとして捉え、その市場が循環しながら持続的に成長していくシステムをつくり上げようとしています。ビジネスは、決して悪いものではなく、ごはんを食べられる人を増やすということです。苦難の道を歩む芸術家というのは、もはや化石化されたイメージで、やはり作品を売って生活できることが正常な在り方だと私は思います。
そのためには、合理的・科学的に市場調査をして、自分をどこに位置づければ成果を出せるのか、戦略を立てることが大切です。本学、特に美術工芸領域では、一人ひとりにフィットする戦略をつくり、迷いがなくなるまで理論を固めていきます。そして、理論によって自らの作品を語れるようになった学生を、私たちが培ってきた膨大なネットワークを生かしながら、会わせるべき人へとつなげていく。作家としての自立に、いかに早く、確実に辿り着けるのか。合理的な道筋を描いていきます。極めてシステマティックな方法で、アーティストを輩出しているのです。
2019年夏、その拠点として、大学院附属のコマーシャルギャラリー「アルトテック」が設置されました。ユニバーサルミュージックアートプロジェクトや伊勢丹新宿店・阪急百貨店うめだ本店でのグループ展企画、また、行政からの受託案件への作家紹介を活発に行っています。ギャラリストたちは、はっきりと言います。「京都芸術大学の学生は、プロ根性が違う」と。あなたも本気でプロをめざすのであれば、この大学院の扉を叩いてください。きっと、世界が変わるはずです。

椿 昇
椿 昇

本学美術工芸学科教授。1989年のアゲインスト・ネーチャーに「Fresh gasoline」を出品、展覧会のタイトルを生む。1993年の第45回ヴェネツィア・ビエンナーレに出品するなど国内外の展覧会へ多数出展。2016年「小豆島町未来プロジェクト」ディレクター。AOMORIトリエンナーレ2017ディレクター。

CASE 02Pr PROJECTS

第一線で活躍するアーティスト、ギャラリスト、コレクター、批評家、キュレーターなどをゲストに招き、レクチャーや講評、ディスカッション、展示、公開制作などの幅広い活動を展開。領域や様式にとらわれず、多角的な思考力や技術力を向上させるとともに、様々な人との交流を通してコミュニケーション能力や想像力を育み、作家をめざす者としての“基礎体力”をつけていきます。若くして作家として活躍する本学教員の鬼頭健吾と大庭大介が、学生一人ひとりの自主性と積極性を刺激するため、あえて年間のスケジュールを設けず、その時々の学生の研究、制作、活動状況に合わせて、柔軟かつスピード感のある運営を行っています。

実践的なアーティスト活動の方法を学ぶ。

大学院では、それぞれの作品表現や研究、見識を深めるとともに、その後、社会に出ていくうえで「実践的な力」を養う場であると私は考えます。美術、芸術大学の問題点として、若手・中堅のアーティストから「卒業、修了後のサヴァイヴァル方法を知りたかった」とよく耳にします。これは、教員ファーストな教育であり、学生が理解できないまま置き去りにされている状態であると思います。そこで大学院では、プロフェショナルなアーティストをめざす、アーティストを生き方とする学部・修士の在校生・修了生たちの為に、アートワールドを多角的に知る場、実践的なアーティスト活動の方法を学ぶ交流の場として「大学院Pr PROJECTS」を(2013年〜)立ち上げました。「Pr PROJECTS」では、学生ファーストな運営をテーマに、第一線で活躍しているアーティストやギャラリスト、コレクター、批評家、キュレーター、ディーラー、学芸員を招集し、講演や講評はもちろん、さらにその後の懇親会では修了生も集まり食事をし、密な会話や意見交換を交えることで、修了後に作家活動していくためのヒントやつながりをつくる活動です。ゲストを呼ぶ際は、年間計画的に考えるのではなく、学生たちの制作や、活動状況といった「学生たちの生の声」を聞き、臨機応変な企画運営を行います。また、具体的な施策として、展覧会の斡旋や紹介、商業施設などへの作品の提案など、学生と社会とのつながりを積極的につくっています。これらは、任意で参加する一人ひとりの学生が、他人事でなく、自主的にやる気をもって、「実践的な力を得る」ためです。近年では、これらのゲスト講師との出会いや、実践的な活動をとおして、コマーシャルギャラリー(商業画廊)への所属や取り扱い、国際展への参加、美術館での展示、ホテルへの作品設置や、デパートでの作品展示、全国区のコンペティション大賞・入賞、共同スタジオの設立など、プロフェショナルな作家として社会で活躍する在校生、修了生を近年たくさん輩出しています。

大庭 大介
大庭 大介
[ 芸術研究科 美術工芸領域 准教授 ]

2005年、本学卒業後、2007年、東京藝術大学大学院美術研究科油絵研究分野修了。光の移ろいや鑑賞者の立ち位置によりイメージや色彩が変容し続ける絵画を、独自のルールを設定した方法論をもとに多角的に展開させる。2017年「大庭大介 個展」SCAI THE BATHHOUSE(東京)、2019年「INTERPRETATIONS, TOKYO ―17世紀絵画が誘う現代の表現」原美術館(東京)、2020年「New Paintings from KYOTO」Loock Galerie(ベルリン)、他国内外で個展、グループ展、アートフェア多数参加。

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