アート・コミュニケーション研究センター
設立主旨
アート・コミュニケーション研究センターは、アートの可能性を多角的に探る研究活動を担う機関として、日本の対話型鑑賞の第一人者でありニューヨーク近代美術館で開発された鑑賞教育プログラム「VTC(Visual Thinking Curriculum)」を日本に紹介した福のり子氏を初代センター長に、2009年4月に設立されました。京都芸術大学が2004年度から展開する対話型鑑賞教育プログラム「ACOP/エイコップ(Art Communication Project)」を広義のアート・コミュニケーションと捉え、人が人との間で生きていくために最も重要な要素であるコミュニケーションのあり方・育て方について美術教育の現場から問い直すというのが本センターの設立趣旨です。
AIなどの技術革新やグローバル化、気候変動や社会構造の変化などに伴って価値観や社会の仕組みが急激に変化し、これまでにない複雑な問題が生じるなど予測困難で前例が通用しないこれからの時代。教育の現場では自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、自ら判断して行動し、人々とともによりよい社会や人生を切り拓いていく「生きる力」が求められています。本センターは、美術が社会の中で主体的に生きる人間を育てる教育コンテンツとしても有効であると考え、美術の分野からコミュニケーションの問題と「生きる力」の向上にアプローチしています。自立した鑑賞者・学習者の育成や私たちの考えるアート(※)の普及促進を通じ、アートの可能性を広げ、ひいては自らの力でみて、考えて、話し、聴くことのできる主体的な人材の育成に寄与していきます。
- 「アート」の定義について、私たちは「みる人と作品の間に立ち起こる不思議な現象」ととらえています。
多様な実践研究の展開
本センターではACOPの実践展開に加え、近年さまざまな領域からも関心を寄せられている対話型鑑賞のファシリテーター養成講座の主催や、各領域の実践者の交流や情報交換、技術研鑽のコミュニティの運営を行っており、アート・コミュニケーションのハブの役割を担っています。また、アートの可能性を模索するために全国の美術館や他大学との共同研究、様々な教育機関・団体での実践・講演も積極的に行っています。芸術祭・アートプロジェクトなどと連携した地方創生やコミュニティ創出、社会的包摂への取り組みや、ACOPを応用した医療・福祉など対人援助者の研修、2012年度からは企業と提携した社内研修やビジネスパーソンに向けた人材育成の取り組みも展開しており、年々その活動の領域を広げています。
これまでの活動成果はアート・コミュニケーション研究センターのWebサイトにまとめられています。