デジタルとフィジカルを駆使し、
商業作品から自己表現まで
「絵」の可能性を探究

イラストレーション・パブリッシングデザイン領域

伝えたいメッセージを絵にあらわすことは、自己や他者への理解を深め、あらゆるコミュニケーションを豊かにします。本領域では、古今東西のアートおよびデザインの理論や歴史を見つめ直すとともに、デジタルとフィジカル(身体的)な経験をともなう学びを組み合わせ、自身の専門性を追究。社会の中で機能する「絵」として、あるいは個人的な思いを描きだす「絵」として、人間性あふれるイラストレーション表現を身につけます。

分野

イラストレーション、ビジュアルアート、マンガ・コミックイラストレーション、絵本・ブックアート

カリキュラム

特長

  • 対面学習+オンライン学習

    プロによる実践的な指導と、領域や分野を横断する学び

    「イラストレーション」「ビジュアルアート」「マンガ」「絵本」といった分野ごとに、現役のアーティストや著名なプロダクションの教員がゼミ形式で個人指導。商業系からアート系まで各自の研究制作に取り組みつつ、領域・分野をこえた合同授業やワークショップにより多様な視点を養います。また、プレゼンテーションや展覧会で制作のプロセスや思いを他者と共有し、文章化する経験を重ねることで、作品のクオリティや思考力を高めていきます。

  • 街そのものが美術館の京都で、表現の源となる知性と感性を養う

    オンライン併用の授業などでデジタルを幅広く活用する一方、身体的な体験をともなうフィールドワークを積極的に実施。街の風景から社寺での祭事まで、京都ならではの奥深い美にふれて感性を鍛えることが、自身の作品に表現力をもたらします。また、描く技術に自信がない人であっても、出版物のプロデュースやマネジメントについて経験豊かな教員から指導を受けることも、この領域ならではの特長です。

田名網敬一教授の個展会場での授業

フロッタージュを用いた実験的な表現演習

開講授業

  • イラストレーション史(芸術環境分野特論H「イラストレーション特論」)

    イラストレーションを取り巻く社会状況やイラストレーションそのものが、現在までにどう変遷したのか。日本のイラストを中心に過去から現在に至る制作事例のほか、サブカル、ART、デザインなどの周辺分野や各種メディアと照合しながら、「イラストレーション」の意味論の変遷過程を考察する。

  • 絵本とは何か?(芸術環境分野特論D「絵本表現特論」)

    絵本は多彩な要素が総合されて成立する出版メディアであり、対象年齢、用途、構造などの違いによってさまざまな種類がある。授業内で多数の作品事例を紹介し、個々に詳しく検討することによって、絵本の表現特性をより多角的な視座から捉え、「絵本とは何か」という根本的問題から、絵本研究の現在的課題に至るまでを俯瞰的に考えていく。

岸雪絵准教授の作品プレゼンテーション

伊藤桂司教授の特別講義

メッセージ

ライフワークとしてのアートを!

岩崎 正嗣

ラテン語の箴言「Ars longa, Vita brevis(芸術は長く、人生は短かし)」は、医聖ヒポクラテスの言葉です。技芸の習熟には長い時間がかかるが、人生は短いため克己して勉学に励めよと、師匠が弟子を叱咤激励した言葉なのですね。後に、人の一生はあっというまに過ぎ去るが、生み出された作品や思想は残り続けるという意味へと転じ、芸術と人間との関係を表わす言葉として、広く用いられるようになりました。
現代は、長寿化した社会です。幸福にも私たちには、何かを学ぶに充分な時間が以前よりも与えられています。生涯をつうじてアートやデザインを実践することは、今日の生活に相応しい生き方であると言えるでしょう。それは一朝一夕に出来上がるものではない、大きく手強い存在です。芸術を学ぶものには、倦まず弛まず創造を練り上げる、不断の実践が求められます。
私たちの大学院は、これからはじまる芸術生活のスタート地点を築くべく、学びの環境や人員を整備いたしました。芸術の活動を諦め切れない人、表現のスタイルを確立したい人、作品の言語化をトレーニングしたい人、それよりなにより、こつこつと制作し発表することに生の歓びを実感する人にこそ、ぜひとも入学していただきたい。教員や学友と過ごすこの2年間は、きっと刺激的で有意義な時間となるはずです。芸術と人生とがひとつとなった、あなただけのライフワークを、ここで追求してください。

イラストレーション・パブリッシングデザイン領域長。1966年、大阪生まれ。1987年、京都芸術短期大学・CGコースを卒業。2022年、倉敷芸術科学大学大学院に社会人学生として在籍し現代絵画領域の博士号を取得。1980年代、コンピュータ・グラフィックスによる電子絵画の制作を開始。以降、デジタルな技芸を基盤に、自画像や身体性を基軸とする作品を、国内外の展覧会やアートプロジェクトにおいて発表。代表作に、自身のポートレイトを多解像度化した「PXS」、身体の色彩と形態とを抽象化した「KALEIDOSCAPE」、細胞や菌類の振る舞いを造形化した「PRIMITIVES」、円相の生命力をイメージ化した「ABYSS」など。それらはいずれも人間とテクノロジーとの関係を思惟する、独創的なヴィジュアル表現となっている。2023年より、京都芸術大学大学院教授。

あなたの表現で、世界を作っていこう

ごとう 隼平

マンガの魅力は、非常に多くの人間に作者個人の表現を届けられることにあると思います。作家そのものと言えるような個性の際立った作品群を、世に送り出す仕組みがあり、それを楽しみに待つ読者がいることは、マンガ文化を日本人が大事に育ててきたからこそ成立しているのではないでしょうか。
一方でマンガの作り方についてはオープンに議論されることも少なく、過去には「マンガ家による一子相伝の技術」という印象すらありました。作り方も時代に合わせアップデートし、誰でもが学べるアカデミックの場に開いていくことが、新しい作品を生み出し続けるために大切なことだと思います。
AIの進化など、マンガの制作方法は今後大きく変わるかもしれません。それでもマンガ作品の個性や表現は、必ず求められ続けるはずです。AIに使われるのではなく、使いこなしていくためには、常に技術の一歩先を行き、自分の作品の完成形をイメージできる力が必要になります。ぜひこれからの未来に向けて、共に学び、あなたならではの作品を届けていきましょう。

1980年東京生まれ。漫画家として小学館・サンデー編集部にて活動。 2010年より『銀塩少年』(小学館・全4巻)を連載。デビューから連載終了後まで10年以上に渡り商業マンガのストーリー構造を研究した。2015年、マンガストーリー専門の教室・研究室として「東京ネームタンク」を創設。2021年、コルクスタジオ編集長に就任。チーム体制でのWEBTOON制作など、新しい時代のマンガ制作に取り組む。

株式会社CORK
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