2013.11.22
- 展覧会
- 近畿圏
【ギャルリ・オーブ】「時代の精神展」第二回
オサム・ジェームス・中川 写真展「沖縄ーオキナワーOKINAWA」
2013. 11/22 (金)
2013. 12/14 (土)
10:30
18:30
会期中無休
瓜生山キャンパス ギャルリ・オーブ
日本最南端に位置する沖縄県は大小160の島々からなり、15世紀ここに成立した琉球王国は、400年あまりにわたって海洋国家として大きな発展を遂げました。珊瑚礁や原生林をはじめ、貴重な動植物をはぐくむ生態系の宝庫でもあります。沖縄を訪れれば、誰もがその類い稀な文化と自然の豊かさに目を見張らされることでしょう。
しかしこれらの島々は17世紀以降、日本によって侵攻・支配を受け、明治政府によって沖縄県設置を強行されたという苦しい歴史があります。さらに第二次世界大戦末期には日米両軍間の壮絶な地上戦の舞台となり、10万人以上もの住民が犠牲となりました。今もなお在日米軍基地の7割以上が沖縄に集中しているという現状にも明らかなように、沖縄は日本とアメリカによって繰り返し翻弄され、深く傷つけられてきたのです。
アメリカを拠点に活躍するオサム・ジェームス・中川は、初めて沖縄を訪れた際、その美しい風景と、凄惨を極めた歴史とのギャップに大きな衝撃を受けました。この展覧会は、そこで着手された3つのシリーズから構成されています。沖縄戦で追い詰められた多くの住民が身を投げた断崖絶壁を、人の目を超える高解像度で描いた「バンタ」。住民の信仰に深く結びつきながらも戦時中には病院や防空壕、さらには集団自決の場となった洞窟を、長い時間をかけてとらえた「ガマ」。今なお沈黙のうちに存在する戦争の痕跡を見つめた「リメインズ」です。それぞれ世界的に高い評価を受けてきましたが、沖縄をめぐる三部作としてこれらが一堂に集められるのは、今回が初めてのことです。
中川自身はアメリカと日本という二つの国にアイデンティティをもち、沖縄と同様に両者の間でつねに揺れ続けてきました。しかも沖縄出身の妻をもつ彼にとって、沖縄を見つめることはまさに自分自身と向き合うことでもあります。その意味でも、これらの作品は客観的な記録というよりも、作家と沖縄との個人的な対話から生み出されたイメージだと言えるでしょう。そこには、目に見えない記憶を想像力によってなんとか可視化させようとする、作家の強靱な姿勢がうかがえます。
この展覧会では、鎮魂歌のように沖縄へ捧げられたこれらの作品を前にして、まずは一人ひとりがゆっくりと想像力を膨らませることから始めたいと思います。そうやって生み出された想像が、沖縄で傷ついたり失われたりした膨大な命だけではなく、数多の悲劇をもたらした国や社会のありようへと私たちの思考を導き、さらには未来へ向けた多様な対話を導くことを願ってやみません。
※「時代の精神展」とは
現実の複雑な様相と根気づよく向きあい 、作品を制作しようとする学生を段階的に育成することを目指して、京都造形芸術大学が 2010 年度に立ちあげたプログラムです。世界の様々な問題に取り組む アーティストとの協働により、展覧会やワークショップなどを展開してゆきます。
しかしこれらの島々は17世紀以降、日本によって侵攻・支配を受け、明治政府によって沖縄県設置を強行されたという苦しい歴史があります。さらに第二次世界大戦末期には日米両軍間の壮絶な地上戦の舞台となり、10万人以上もの住民が犠牲となりました。今もなお在日米軍基地の7割以上が沖縄に集中しているという現状にも明らかなように、沖縄は日本とアメリカによって繰り返し翻弄され、深く傷つけられてきたのです。
アメリカを拠点に活躍するオサム・ジェームス・中川は、初めて沖縄を訪れた際、その美しい風景と、凄惨を極めた歴史とのギャップに大きな衝撃を受けました。この展覧会は、そこで着手された3つのシリーズから構成されています。沖縄戦で追い詰められた多くの住民が身を投げた断崖絶壁を、人の目を超える高解像度で描いた「バンタ」。住民の信仰に深く結びつきながらも戦時中には病院や防空壕、さらには集団自決の場となった洞窟を、長い時間をかけてとらえた「ガマ」。今なお沈黙のうちに存在する戦争の痕跡を見つめた「リメインズ」です。それぞれ世界的に高い評価を受けてきましたが、沖縄をめぐる三部作としてこれらが一堂に集められるのは、今回が初めてのことです。
中川自身はアメリカと日本という二つの国にアイデンティティをもち、沖縄と同様に両者の間でつねに揺れ続けてきました。しかも沖縄出身の妻をもつ彼にとって、沖縄を見つめることはまさに自分自身と向き合うことでもあります。その意味でも、これらの作品は客観的な記録というよりも、作家と沖縄との個人的な対話から生み出されたイメージだと言えるでしょう。そこには、目に見えない記憶を想像力によってなんとか可視化させようとする、作家の強靱な姿勢がうかがえます。
この展覧会では、鎮魂歌のように沖縄へ捧げられたこれらの作品を前にして、まずは一人ひとりがゆっくりと想像力を膨らませることから始めたいと思います。そうやって生み出された想像が、沖縄で傷ついたり失われたりした膨大な命だけではなく、数多の悲劇をもたらした国や社会のありようへと私たちの思考を導き、さらには未来へ向けた多様な対話を導くことを願ってやみません。
※「時代の精神展」とは
現実の複雑な様相と根気づよく向きあい 、作品を制作しようとする学生を段階的に育成することを目指して、京都造形芸術大学が 2010 年度に立ちあげたプログラムです。世界の様々な問題に取り組む アーティストとの協働により、展覧会やワークショップなどを展開してゆきます。
費用 | 無料 |
---|---|
定員 | - |
申込方法 | - |
主催 | 京都造形芸術大学 |
お問合せ | TEL: 075-791-9122 Fax: 075-791-9127 Email: galerie-aube@kuad.kyoto-art.ac.jp |
URL | http://jidainoseishin02.wordpress.com/ |