歴史遺産研究領域HISTORICAL HERITAGE RESEARCH FIELD
歴史文化論、 文化財科学、 考古学、 文化財保存修復論、 庭園文化論

歴史遺産を読み解き、伝承することをめざす
歴史遺産学とは、有形・無形の文化遺産(文化財)を研究を通じて次の世代に伝承するためのユニークな学問です。それらが表象する歴史文化を文献史学、考古学、民俗学、美術史等の視点で研究することで、その評価を明らかにして伝承する意義を示します。また、文化財科学ではそれらを科学的に調査・研究し、文化財保存修復論では修理や保存に留まらず、活用までを実践的に追求し、伝承する方法・技術を支えます。
[ 領域の特長 ]
京都を拠点とする芸術大学というメリット
京都には様々な歴史遺産があり、修理工房や伝統的材料を制作する職人等が残っています。そして今現在、芸術作品を制作する現場が身近にあります。この環境だからこそ、文化財の保存、修復、活用に携わる専門家・歴史文化を独自の視点で捉え、新たな価値につなげる人材を輩出してきました。
日本庭園・歴史遺産研究センターとの連携
大学附置研究機関「日本庭園・歴史遺産研究センター」は、外部から調査研究・保存修理事業を受託したり、研究会やセミナーを開催したりしています。大学院の本領域とも密接に連携しており、こうした様々なプロジェクトで実務経験を積むことを通じて、現場の即戦力を目指します。

[上]奉書の電子顕微鏡写真
[中]近江絵図の調査風景
[下]被災資料の修理
[ 2022年度開講授業 ]
論文と実習のゼミ指導(歴史産学演習・歴史遺産学研究)
各自が定めたテーマに基づき、指導教員と共に様々な実務体験と研究を進めて行きます。授業は主に対面で行い、修士課程の2年間で出来るだけの実務体験を行い、論文を完成させます。さらに、成果発表会、国内外との研究交流なども行います。
分野の基礎と知識の深化(芸術分野特論2・3/芸術文化原論2)
歴史文化、文化財保存修復の2分野の基礎と現実を講義を通じて学びます。
[ 領域長メッセージ ]
文化伝承の担い手として
文化財を廻る世界は移り変わっています。日本国内の文化財として考えるだけではなく、世界遺産、無形文化遺産等、グローバルな遺産として活用し伝承することが求められるようになってきました。しかし活用だけを進めていくと、長い歴史を生き抜いてきた文化財も消耗し失われていくであろうことは明らかです。だからこそそれを伝承し、守るプロフェッショナルが求められています。
歴史遺産研究領域長
大林 賢太郎
本学歴史遺産学科教授、日本庭園・歴史遺産研究センター副所長兼歴史遺産研究部門長。1984年より㈱岡墨光堂、㈱文化財保存、(特非)文化財保存支援機構にて、装潢文化財、紙資料、写真コレクション等の保存修理事業に従事し、2006年より本学に勤務。