歴史遺産研究領域

HISTORICAL HERITAGE &FIELD

犀皮漆器の復元:劉 暢(2017年度修了)

犀皮漆器の復元:劉 暢(2017年度修了)

歴史遺産を読み解き、新たな研究成果を導き出す

本領域では、京都を拠点とする芸術大学であるという特色を存分に生かしながら、文献史学・考古学・文化財科学など各方面から歴史遺産の調査・研究に取り組むことで、従来にない研究成果を導き出してきています。文化財の保存・修復・継承・活用に携わるプロフェッショナルをはじめ、歴史を独自の観点で捉え、新たな価値を生み出す人材を輩出していきます。

領域の特長

本物を求めて人が集う、京都でのフィールドワーク

公家や武家、町衆の文化が融合し、長い歴史を有する京都。他地域にはみられない文化の蓄積と多様性を持つこの地で、実地調査と実体験を重ねながら研究を深めることができます。本領域では、東洋書画、古文書、古写真、民俗文化財、漆工芸品、考古遺物などの文化財保存修復に取り組むほか、史跡の調査や保存整備・活用にも積極的に取り組みます。

世界や社会とつながる、日本庭園・歴史遺産研究センター

大学付置研究機関「日本庭園・歴史遺産研究センター」は、本領域とも密接に連携しながら、専門的かつ国際的な調査研究を展開しています。日本庭園を学ぶ人を世界から募り専門研修を実施。学生もそこに参加して自国への理解を深め、国際感覚を磨きます。また、文化財の保存修復事業を推進しており、実際の仕事にプロジェクトとして学生が参加。文化財修復のプロを養成する役割も担っています。

領域長メッセージ

広大な間口がひらけた「歴史遺産」の世界へ

文化財というと、博物館に収蔵されているような重要文化財がまず浮かぶかもしれません。しかしまだ文化財には指定されていないけれども、我々が芸術をつくったり、歴史を理解したりするうえで貴重な文化遺産というものも、数多く存在してます。こうしたものから新たな価値を発見していくために、本領域では「歴史遺産」という名称を用いています。私たちの研究の間口はとても広く、たとえば「景観」も歴史遺産であり、文化の産物であると捉えることができます。街並みの中にも、様々な時代の特徴が併存している。そこから人々の暮らしの履歴や課題をどう読み解いていくかという新しい試みも生まれつつあります。

仲 隆裕

歴史遺産研究領域長/芸術専攻(博士課程)専攻長

仲 隆裕

本学歴史遺産学科教授。農学博士(京都大学)。京都市文化財保護課文化財保護技師、山中庭園研究所、千葉大学助手などを経て、現職。歴史的庭園の調査や、考古学的発掘調査に基づく文化財庭園の保存修復技術の開発に取り組む。平等院庭園の保存整備、シェーンブルン宮殿内石庭の復元整備などがある。

修了生紹介

わだ ながら
長嶺 睦(ながみね むつみ)さん

舞鶴引揚記念館 学芸員 [ 2003年度修了 ]

沖縄県糸満市出身。自身の親族からも犠牲者を出した沖縄戦の戦跡を辿り、ガマの考古学的調査を行う。舞鶴引揚記念館の学芸員に就任した後、ユネスコ世界記憶遺産の実務的作業を1人で担う。現在は、2019年に京都で開催されるICOM(国際博物館会議)に向けて準備を進める。

今、遺さなければ、永久に失われてしまう。
焦燥感を胸に、ユネスコ世界記憶遺産へ。

私が務める舞鶴引揚記念館には、シベリア抑留から生還した方々の回想画や日誌、生活用品などが所蔵されています。2015年、その資料のうち570点が「ユネスコ世界記憶遺産」への登録を果たしました。ここまで至る道は、決して楽なものではありませんでした。原動力となったのは、大学時代から持ち続けている「今やらなければ」という焦燥感です。「戦跡考古学」の存在を知り、卒業・修士論文を通して研究に取り組んだことが、原点になっています。私が生まれた沖縄では、73年前に米軍と日本軍が戦闘を行い、多くの民間人が犠牲になりました。自然の洞窟を利用した防空壕「ガマ」に足を運び、現地調査を重ねながら、この戦跡をいかに活用すべきかを探っていきました。今、遺さなければ、失われてしまうかもしれない戦争の記憶。世界の人々、後世の人々に向けて、その記憶を伝えていきたいです。

周 焱
竹村 洋香(たけむら ひろか) さん

一般財団法人 公園財団 平城宮跡管理センター職員 [ 2017年度修了 ]

本学の歴史遺産学科卒業。学部生のときから、古墳と地域の人々との関係性に興味を抱き、大学院で研究を深める。修了後は、一般財団法人公園財団に入団し、2018年春にオープンした平城宮跡歴史公園の朱雀門ひろば内にある「平城宮いざない館」にて、体験プログラムの企画運営に携わる。

遺跡を見つめる研究者から、遺跡と人を、つなぐ人へ。

古墳が好きで、学部生のときから、古墳と周りで暮らす人たちとの共存の在り方について研究していました。進路に悩んでいたときに、院生の先輩方の、さらに考察を深めて研究に打ち込む姿に影響を受けて、進学を決意。大学院での学びは、あらゆる視点から古墳にアプローチできた有意義な時間でした。たとえば、古墳にまつわる伝承を読み解くと、古墳の名前の由来が見えてきて、昔の人が古墳をどのように捉えていたのかを知るきっかけになったり、仲先生から一見関係のないように思える「庭園」と古墳の関わりを教えていただいたり。そうして理解を深めるにつれて、遺跡を研究する立場から、遺跡と人をつなぐ人になりたいという想いが強くなっていきました。すこしでも多くの方に、遺跡の魅力を感じてもらいたい。今、平城宮跡にある施設の職員として、関係性を紡ぐためのきっかけづくりを試みています。

資料請求 あたらしいパンフレットができました。