歴史遺産研究領域

HISTORICAL HERITAGE &FIELD

犀皮漆器の復元:劉 暢(2017年度修了)

犀皮漆器の復元:劉 暢(2017年度修了)

歴史遺産を読み解き、新たな研究成果を導き出す

本領域では、歴史遺産が持つ意味、その背景にある歴史までを考察したり、ものとしての文化財を分析し、保存修復方法、さらには今後の活用まで考えたりしています。現在の歴史遺産を、文献史学、考古学、文化財科学などの各方面から調査・研究を行い、それが生まれた当時の姿や状況、伝承してきた過去の経緯を明らかにし、保存修復、活用の研究、実践を通じて、未来へ伝えるためのユニークな学問です。

領域の特長

京都を拠点とする芸術大学というメリット

京都には様々な歴史遺産があり、修理をする工房や材料店も多く残っています。学内には現在もそれらを生み出している現場があります。この環境だからこそ、文化財の保存、修復、継承、活用に携わる専門家や、歴史を独自の観点で捉え、新たな価値を生み出す人材を輩出してきました。

日本庭園・歴史遺産研究センターとの連携

大学附置研究機関「日本庭園・歴史遺産研究センター」は、外部から調査研究・保存修理事業を受託したり、研究会やセミナーを開催したりしています。大学院の本領域とも密接に連携しており、こうした様々なプロジェクトで実務経験を積むことを通じて、現場の即戦力をめざせます。

領域長メッセージ

文化伝承の担い手として共に

2019年4月、文化財保護法の大幅な改正が行われました。この改正によって文化財の残し方も変わっていくと予想されています。また、文化財自体の範囲も拡がって、近現代のものも文化財に指定されはじめています。さらに、文化財という国内的な概念から、世界遺産というよりグローバルな視点が必要なケースも増えています。文化を未来に伝承していく「新しい取り組み」に対応できる人材が求められています。

林 賢太郎

歴史遺産研究領域長

大林 賢太郎

本学歴史遺産学科教授、日本庭園・歴史遺産研究センター副所長兼歴史遺産研究部門長。1984年より㈱岡墨光堂、㈱文化財保存、(特非)文化財保存支援機構にて、装潢文化財、紙資料、写真コレクション等の保存修理事業に従事し、2006年より本学に勤務。

修了生紹介

物の背景に広がる、いくつもの物語。その記録と記憶を伝えていく。

鍵屋資料館主屋。江戸時代後期の町屋建築の構造を残す。

中野 祥子
中野 祥子(なかの しょうこ)さん

市立枚方宿鍵屋資料館学芸員 [ 2011年度修了 ]

漆芸のおかれている状況について調べるため、本学へ。漆塗りに使用する漆刷毛の研究を行う。修了後は、石川県輪島漆芸美術館で学芸員を務め、現在は市立枚方宿鍵屋資料館で民俗資料の展示に携わる。本学の伊達仁美教授とともに修復材料の研究も行い、民俗資料の保存促進に努める。

漆塗りに用いる漆刷毛は、人間の髪の毛が材料。

実技から研究へ。
ひとつの道具の足跡を追い、日本各地を辿る。

大学では漆芸の実技を学んでいました。様々な道具を用いて漆器をつくる中、それらの道具をつくる職人さんが姿を消しつつあるという現状を知り、「実態をきちんと調べ、保存につなげられたら」と考えるようになりました。大学院に進み、実技から研究へ。調査を重ねるうち、漆塗りに使われる「漆刷毛」の職人である漆刷毛師が、全国に2軒しかないことが分かりました。各工房を訪ね、制作の現場を取材させていただき、現在に至るまでの足跡についてお話を伺いました。さらに、漆刷毛師のつくる刷毛が、漆芸作家や職人の手元に届いた後、どのように使われていくのか。自分の足で一つひとつ生きた情報を集め、修士論文としてまとめ上げました。

地域の人々が、何を大切に生きてきたのか。
想いまで、伝わる展示を。

物の背景には、たくさんの物語が広がっていること。ひとつの道具と深く向き合えた2年間は、物の見方を豊かにしてくれました。担当教員を務めてくださった伊達仁美教授からは「保存」だけでなく「活用」という視点も学びました。もともと暮らしの中で使われてきた民俗文化財を、いかに身近なものとして感じてもらえるか。鍵屋資料館に勤める今も、地域の方々を訪ねてお話を聞き、記録し、お預かりした物をどのように生かすべきかと思考を巡らせています。地域の皆さんが何を想い、何を大切に生きてきたのか。資料を通して地域の魅力や人の暮らしにまで想像が広がっていくような展覧会をつくっていきたいです。

資料請求 あたらしいパンフレットができました。