デジタルとフィジカルを駆使し、
商業作品から自己表現まで
「絵」の可能性を探究

イラストレーション・
パブリッシング
デザイン領域

Xinyi LIU 『Energy Flow』 Oil Pastel on Paper, 2022

伝えたいメッセージを絵にすることは、自己や他者への理解を促し、あらゆるコミュニケーションを明らかにすることです。本領域では、古今東西のアートおよびデザインの歴史や理論を見つめ直すとともに、デジタル(情報)とフィジカル(身体)の経験をともなう学びを組み合わせ、自身の専門性を確立していきます。情報化された世界で機能する「絵」として、あるいは個人的な思想を表現した「絵」による、人間性あふれるイラストレーションを追求いたします。

分野紹介

イラストレーション、ビジュアルアート、マンガ・コミックイラストレーション、絵本・ブックアート

イラストレーション

イラストレーションという言葉は、光「Lux」と同義であり、対象を「明るく照らす」という意味を持ちます。この分野では、個々の大学院生が設定したテーマを絵にすることで、人、物、事の様々を、視覚的にわかりやすく表現するプラクティスを行います。現役のクリエイターである教員と自作についてのディスカッションをし、また数多くの先行作品をリサーチすることで、広告、出版、ウェヴデザイン等の世界で輝ける、実力派のイラストレーターになることを目標とします。

ビジュアルアート

ビジュアルアートとは、主に視覚を通じて表現される芸術をあらわします。ここでは、絵画や彫刻などの純粋美術から、写真、映画、デジタルアート、インスタレーション、パフォーマンスまでといった幅広いアートのジャンルを研究対象にしています。制作に用いるメディアは、鉛筆、水彩、パステル、油彩から、映像、コンピュータ、デジタルファブリケーションまでと様々です。作者の内面や社会的なメッセージを視覚化し、その論述作業を通じてコンセプトを明確化した、今日的なアーティストやデザイナーを目指します。

マンガ・コミックイラストレーション

マンガの制作にとって最も大切なこと、それは魅力的な物語りの創出と、自分らしい画風を確立することです。この分野では、皆さんがプロのマンガ家でデビューすることを、目標としています。マンガプロデュース会社と芸術大学院とが強力なタッグを組み、専門的かつ実践的なマンガ教育を、提供いたします。世界から注目される芸術都市「京都」から、地域性と国際性、またエンターテインメントとアートを複眼した、未来のマンガ文化を創造し発信していきます。

絵本・ブックアート

絵本とは、イラストレーションとストーリーとの双方で成り立つ総合的な芸術です。それは子供の思考力を高める知育的な作品のみならず、人々の感性に訴えかけて情操を涵養する、文学とアートが高次に融合したオブジェでもありましょう。この分野では、学生それぞれの研究テーマを、絵本学を専門とする教員が徹底指導をおこなうことにより、哲学的で芸術性あふれる作品の創出へと繋げます。新たな絵本芸術誕生へむけた思索と制作をつうじ、次代の絵本作家を育成いたします。

マンガ分野の作品講評会

イラストレーション分野の展覧会

合同講評会(合評)

イラストレーション分野のワークショップ

特長

  • 対面学習+オンライン学習

    プロによる個別指導と、領域や分野の横断的学習

    「イラストレーション」「ビジュアルアート」「マンガ」「絵本」といった専門の分野ごとに、現役のクリエイターや研究者、著名なプロダクションの教員たちがゼミ形式で個人指導を行い、作品のクオリティや思考力を高めていきます。また、ビジネス系からアート系まで各自の制作研究に取り組みつつ、領域・分野をこえた合同授業やワークショップの実施により、多様な視点を養います。

  • 制作から発表までの、実践的な制作研究の場

    芸術系大学院では、作品制作こそが研究活動の要(かなめ)です。制作し発表し、他者と対話し、自作を言語化するという実践的な研究を、学内外のギャラリーや美術館での展覧会でくりかえし、作品の充実へとつなげます。創造し思考することは、ここでの研究の最高最大の特徴かつ魅力であり、その成果は修了作品ならびに修士論文へと結実され、各々の未来の基点が形成されていきます。

  • 街そのものが美術館の京都で、表現の源となる知性と感性を涵養

    オンライン併用のハイブリッド授業などでデジタルを幅広く活用する一方で、身体的な体験をともなうフィールドワークを積極的に実施します。市街の風景から社寺での祭事まで、京都ならではの深奥な美にふれて感性を鍛えることが、自身の作品に豊かな表現力をもたらします。古都・京都での芸術研究という学際的なアプローチは、一般大学の出身者の方々にとっても、あらたなキャリア開拓の可能性に満ちみちています。

絵本分野の作品発表会

社寺仏閣での学外演習

修士論文執筆指導

ビジュアルアート分野の展示演習

開講授業

  • イラストレーションの変遷について(芸術環境分野特論「イラストレーション特論」)

    イラストレーションを取り巻く社会状況やイラストレーションそのものが、現在までにどう変遷したのか。日本のイラストを中心に過去から現在に至る制作事例のほか、サブカル、ART、デザインなどの周辺分野や各種メディアと照合しながら、「イラストレーション」の意味論の変遷過程を考察する。

  • 絵画の歴史-洞窟壁画からiPadまで-(芸術環境分野特論「画像表現特論」)

    日本語の画像という言葉は、英語の Picture(絵画・写真)に対応し、また表現の世界で用いられる Image(心象・映像)へと置換できる多義的なものである。では今日一般化したタブレット絵画やデジタル写真は、絵の具と筆、またレンズとフィルムを用いる旧来の画像と、なにが類似しどこが相違するのであろうか? 本講義では、デイヴィッド・ホックニーの著作を手がかりに、絵画、印刷、写真、映画からコンピュータ・グラフィックスまでの画像メディアの変遷を通観し、それらの造形特性について考察してみたい。受講生それぞれが、新旧メディアの持つ素材・技法の独自性を理解し、自作を豊かなイメージ表現へと結実させてゆくことが、この授業のねらいである。

  • マンガの構造を理解する(芸術環境分野特論「マンガ表現特論」)

    マンガは複合的な芸術であり、「企画、構成、演出、作画...」と多くの工程が複合的に組み合わさってヒットするマンガが成立する。本講では企画からマンガの下書きであるネーム作成までのプロセスを4つに分割することで、そのマンガを構造的に理解し、組み立てる力を養っていく。講師はマンガ家であり株式会社コルクWebtoon編集長の後藤隼平と、編集エージェントである株式会社コルクの専門分野講師が担当する。講義内容に応じた課題制作を伴い、オリジナルマンガのネーム制作を授業の到達目標とする。

  • 絵本とは何か? (芸術環境分野特論「絵本表現特論」)

    絵本は多彩な要素が総合されて成立する出版メディアであり、対象年齢、用途、構造などの違いによってさまざまな種類がある。授業内で多数の作品事例を紹介し、個々に詳しく検討することによって、絵本の表現特性をより多角的な視座から捉え、「絵本とは何か」という根本的問題から、絵本研究の現在的課題に至るまでを俯瞰的に考えていく。

伊藤桂司先生の特別講義

岩崎正嗣先生のゼミ指導

ヒロ杉山先生のポートフォリオ制作

岸雪絵先生の技法研究

動画もチェック

デジタルとフィジカルを駆使し、商業作品から自己表現まで「絵」の可能性を探究 京都芸術大学 大学院 修士課程 イラストレーション・パブリッシングデザイン領域

教員メッセージ

ライフワークとしてのアートを!

岩崎 正嗣

ラテン語の箴言「Ars longa, Vita brevis(芸術は長く、人生は短かし)」は、医聖ヒポクラテスの言葉です。技芸の習熟には長い時間がかかるが、人生は短いため克己して勉学に励めよと、師匠が弟子を叱咤激励した言葉なのですね。後に、人の一生はあっというまに過ぎ去るが、生み出された作品や思想は残り続けるという意味へと転じ、芸術と人間との関係を表わす言葉として、広く用いられるようになりました。
現代は、長寿化した社会です。幸福にも私たちには、何かを学ぶに充分な時間が以前よりも与えられています。生涯をつうじてアートやデザインを実践することは、今日の生活に相応しい生き方であると言えるでしょう。それは一朝一夕に出来上がるものではない、大きく手強い存在です。芸術を学ぶものには、倦まず弛まず創造を練り上げる、不断の実践が求められます。
私たちの大学院は、これからはじまる芸術生活のスタート地点を築くべく、学びの環境や人員を整備いたしました。芸術の活動を諦め切れない人、表現のスタイルを確立したい人、作品の言語化をトレーニングしたい人、それよりなにより、こつこつと制作し発表することに生の歓びを実感する人にこそ、ぜひとも入学していただきたい。教員や学友と過ごすこの2年間は、きっと刺激的で有意義な時間となるはずです。芸術と人生とがひとつとなった、あなただけのライフワークを、ここで追求してください。

イラストレーション・パブリッシングデザイン領域長。1966年、大阪生まれ。1987年、京都芸術短期大学・CGコースを卒業。2022年、倉敷芸術科学大学大学院で社会人学生として現代絵画領域の博士号を取得。1980年代、コンピュータ・グラフィックスによる電子絵画の制作を開始。以降、デジタルな技芸を基盤に、自画像や身体性を基軸とする作品を、国内外の展覧会やアートプロジェクトにおいて発表。代表作に、自身のポートレイトを多解像度化した「PXS」、身体の色彩と形態とを抽象化した「KALEIDOSCAPE」、細胞や菌類の振る舞いを造形化した「PRIMITIVES」、円相の生命力をイメージ化した「ABYSS」など。それらはいずれも人間とテクノロジーとの関係を思惟する、独創的なヴィジュアル表現となっている。2021年、アジアデジタルアート大賞展優秀賞を受賞。2023年より、京都芸術大学大学院・芸術研究科・芸術環境専攻教授。

あなたの表現で、世界を作っていこう

ごとう 隼平

マンガの魅力は、非常に多くの人間に作者個人の表現を届けられることにあると思います。作家そのものと言えるような個性の際立った作品群を、世に送り出す仕組みがあり、それを楽しみに待つ読者がいることは、マンガ文化を日本人が大事に育ててきたからこそ成立しているのではないでしょうか。
一方でマンガの作り方についてはオープンに議論されることも少なく、過去には「マンガ家による一子相伝の技術」という印象すらありました。作り方も時代に合わせアップデートし、誰でもが学べるアカデミックの場に開いていくことが、新しい作品を生み出し続けるために大切なことだと思います。
AIの進化など、マンガの制作方法は今後大きく変わるかもしれません。それでもマンガ作品の個性や表現は、必ず求められ続けるはずです。AIに使われるのではなく、使いこなしていくためには、常に技術の一歩先を行き、自分の作品の完成形をイメージできる力が必要になります。ぜひこれからの未来に向けて、共に学び、あなたならではの作品を届けていきましょう。

1980年東京生まれ。漫画家として小学館・サンデー編集部にて活動。 2010年より『銀塩少年』(小学館・全4巻)を連載。デビューから連載終了後まで10年以上に渡り商業マンガのストーリー構造を研究した。2015年、マンガストーリー専門の教室・研究室として「東京ネームタンク」を創設。2021年、コルクスタジオ編集長に就任。チーム体制でのWEBTOON制作など、新しい時代のマンガ制作に取り組む。

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株式会社CORK

人間を知る喜び、絵本を学ぶ面白さ

甲木 善久

ラスコー洞窟の壁画にせよタッシリ・ナジェールの壁画にせよ、あるいは銅鐸に刻まれた絵画にせよ、太古の昔からヒトは世界を記号化&体系化して理解してきました。その意味で、イラストレーションやビジュアルアート、マンガや絵本についてより深く学び、一方で作品の制作にも取り組もうとしている学生は人間として極めて正しい選択をしています。イラストレーション・パブリッシングデザイン領域が扱うのは、神や仏や大自然に対する祈りと崇拝の気持ちの表れとして長い時間の中で育まれ、やがては作家個人の自己表現という近代的な価値の中で発展してきた造形です。
中でも絵本は、子どもから大人まで読むことのできるものですから時代を超えた人間の普遍性を描き出した作品が沢山あります。大人だけが鑑賞者として想定されるような表現芸術の場合、マルセル・デュシャンの《泉》のように時代や社会の常識を問い返したり破壊したりするだけで作品が成り立ちます。しかし、子どもも読者対象となる絵本ではそういうアンチテーゼに頼るコンセプチュアルアート作品はロングセラーとなりません。大人だけに受け入れられる作品も、出版された一瞬だけ子どもに受ける「子供騙し」な作品も、年々代変わりして新たな読者層を迎え入れる絵本の世界では淘汰されてしまうのです。だから、絵本作品を制作するときも、絵本について研究するときも、人間という生き物の本質について常に考える必要に迫られます。自分が帰属している時代や社会の仕組みについて問い直し、さらにそこから人間の普遍を捉えようとし続けることで作品を生み出し、絵本に対する考察を深めていくことこそ絵本分野で学ぶ意義なのです。老若男女すべての人間を惹きつける絵本作品について考え、やがて自分でもそうした絵本作品を制作できるようになってみませんか。

1986年、國學院大學文学部卒業。「週刊読書人」「毎日新聞」「産経新聞」等に子どもの本の書評を連載していた。1990年、絵本作家養成ワークショップ「あとさき塾」を企画設立。1995年、児童文学と絵本の総合誌「季刊ぱろる」を企画創刊。青山学院女子短期大学、和光大学、白百合女子大学に非常勤講師として勤務し、児童文学や絵本について講じていた。翻訳書に『天才盲導犬エマと過ごした素晴らしい日々』(どうぶつ社)

修了後の進路

2024年度実績

  • 株式会社メルタ
  • 株式会社安達住設
  • フェンリル株式会社
  • 株式会社エープラス
  • 株式会社ブシロード
  • CTW株式会社
  • 株式会社Shiro
  • 六元素情報システム株式会社
  • 芒果TV
  • チェントロ株式会社
  • 雅九芸術株式会社
  • 株式会社AMC SCHOU Japan
  • IBW株式会社
  • 士星合同会社
  • DAIWA CYCLE株式会社
  • 株式会社中央競馬ピーアール・センター
  • 岩井製果
  • 株式会社エンドレス
  • 百錦教育美术部
  • 株式会社マイナビ
  • 株式会社コーエーテクモゲームス
  • 深圳市次元幻城科技文化发展有限公司
  • イオンマーケット株式会社
  • 株式会社オーベロン
  • ウィナーソフト株式会社
  • サミット株式会社
  • Happy Elements株式会社
  • 株式会社プリズム
  • 株式会社旅行綜研西日本
  • 株式会社ラピス
  • 中国 上海開放大学
  • 中国 西北大学
  • 中国 西安外国語大学芸術学院
  • 中国 江西服装学院
  • 中国 南通大学
  • 中国 河北美術学院
  • AF国际芸術中心(留学予備校)
  • 知日塾(留学予備校)
  • 京都芸術大学 博士課程(進学)
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