2026年8月27日(木)
- プレスリリース
「専門性を深める」だけではない芸術教育へ 〜京都芸術大学、専門領域を越えて学ぶ「副専攻プログラム」開始から1年 学生の視点の広がりに変化〜
一つの専門を深めるだけでなく、異なる領域へ踏み出すことで、学生の学びはどう変わるのか。
京都芸術大学(KUA、京都市左京区/学長:佐藤 卓)は、2024年度後期より、所属する学科・コースでの主専攻に加えて専門領域を越えて学ぶ「副専攻プログラム」を開始しました。このたび、「副専攻プログラム」の1年目の取り組みをまとめました。
「オルタナティヴ・アート」「ソーシャル・イノベーション」「メディア・テクノロジー」の3領域を設け、学生自身の関心を起点に、異なる専門を持つ学生や教員、地域の人々などとの対話・実践を通じて、自らの問いを深める学びを展開しています。
初年度の履修学生を対象としたアンケートでは、6つの評価項目のうち「視点の広がり」への評価が最も高く、インタビューでは、異なる領域の学びによって「ものの見方が変わった」「主専攻での制作に生きた」といった声に加え、地域創生に関心を持つようになったという声も聞かれました。

開始から丸1年が経過し、味噌づくりを通して「メディア」を捉え直す授業や、京都・鞍馬でのフィールドワークなど、既存の専門領域にとらわれない3つの副専攻の実践と、そこから見えてきた学生の変化を紹介します。
なぜ、専門領域を超える学びの場を作ったのか
京都芸術大学は「社会の変革を担う・牽引する人材の育成」を教育目標に掲げ、たとえば、通学課程では企業や自治体と連携した「社会実装プロジェクト」を年間100件以上展開するなど、芸術の学びを学内・学外にも広げる様々な試みを行っています。
参考リリース:昨年度の社会実装プロジェクトの実績紹介
副専攻プログラムは、こうした取り組みに加えて、学生が学内において専門領域を超え、自らの関心から探求を深める学びの場として、2024年後期より開講しました。
特徴は、学びを始める順序にあります。副専攻という仕組みは、もう一つの専門を学ぶ制度として設計されることもあります。しかしながら、本プログラムでは、その前に、学生自身が何に関心を持ち、何を「放っておけない」と感じるのかを見つめることから探究を始めます。
あらかじめ社会課題をテーマとして与えるのではなく、学生自身の関心を起点とすることで、主専攻だけでは届かない領域へ越境し、他者との対話を通じて自らの問いを深めていく設計です。
2025年度は、概論科目の履修者が前期およそ40〜50名、後期には100名を超えました。
総合演習では、3つの副専攻あわせて十数名の学生が1期生として学びを進めました。
なお、いずれかの副専攻を履修する学生は、他の副専攻の選択科目も履修できます。
メディアの授業で味噌作り?!〜副専攻ならではの自由な学び〜
副専攻の3領域では、学ぶ内容も方法も異なりますが、いずれも学生自身の関心を起点に、自分の専門の外にある視点へ触れていく点が共通しています。
オルタナティヴ・アート
「アート」を美術作品や表現だけに限定せず、書くこと、見ること、聞くこと、つくること、考えることなど、私たちがものごとに関わるさまざまな技術や実践として捉え直します。異なる専門をもつ学生や教員との学びを通して、主専攻で身につけた知識や方法をさまざまな分野と結びつけながら、自らの興味・関心をひらき、「アート」の潜在性を探ります。


ソーシャル・イノベーション
地域や企業との連携を通じて、学生自身の問いを社会と接続します。2025年度は京都市の鞍馬地域でフィールドワークを実施し、学生が一日かけて現地を回り、感じたことを地域の方々の前で発表しました。この提案をもとに、廃校となった小学校を会場とするイベントの開催にもつながりました。

メディア・テクノロジー
特定の媒体に依存せず、多様なメディアを通じた表現を模索します。
音声の特質からメディアを捉え直す「音響研究」などの科目のほか、微生物をはじめさまざまな要素が関わって作り上げられる「味噌」をメディアの一例として捉えるなどユニークな切り口のカリキュラムも用意し、実際に味噌を仕込む授業も行いました。


6項目で最も高い評価は「視点の広がり」――主専攻や学ぶ姿勢にも変化
副専攻では、学生間の評価や自己評価を取り入れています。他の学生の活動に質問したり、感じたことを言葉にして返したりするやりとりが重ねられ、互いの探究を見合い、言語化し合う場となりました。少人数編成のため、他の主専攻で学ぶ学生同士の交流も深まっています。
2025年度の履修者を対象とした学内アンケートでは、6つの評価項目のうち「視点の広がり」への評価が最も高く、自由記述にも、物事を多角的に捉える、一歩引いて眺めるといった趣旨の感想が見られました。
学生からは、ものの見方が変わったという声が出ています。
たとえば、作品を鑑賞する際に、表面的な印象だけでなく、作家の考え方や表現方法にも目を向けるようになったという学生や、地域に出て幅広い年代の方と対話したことで、伝え方や進め方を自分で考えるようになったという学生もいます。
加えて、学生たちの主専攻への還元もアンケート結果からは感じ取ることが出来ました。
副専攻で複数のメディア表現に触れたことが主専攻での制作に生きているという声や、アートを学んだことで自分の専門である写真をより多角的に捉えられるようになったという声が寄せられました。
前述のメディア・テクノロジーの授業では、実際につくった味噌を使って学生が芋煮会を開くなど、そのユニークな関わりは授業の外にも広がっています。
こうした学びを通じて、学生が自分の関心を言語化し、他者との対話の中で問いを深めていく場が副専攻の学びの中で生まれています。
今後の展開
2026年12月には、副専攻1期生の学びの成果を学内で展示する他、3つの副専攻科目群合同での学外プログラムやワークショップの実施も予定しています。
学外の研究者や他大学教員との接点も取り入れながら、学生が自らの問いを持ち、専門を深めながらその外へ出ていく学びの機会を広げていきます。
参考情報
副専攻プログラムを履修した学生たちのインタビューは、
瓜生通信「副専攻って実際どう? 履修した3人に聞いてみた」で詳しく紹介しています。
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/1515
京都芸術大学(KUA)について
京都芸術大学は、通学課程と通信教育課程を併せ持ち、約24,000名が在籍する国内最大規模の総合芸術大学です。2027年に創設50周年を迎えます。
通学課程(芸術学部10学科24コース)では、"社会と芸術"の関わりを重視し、企業や自治体と連携した「社会実装プロジェクト」を年間100件以上展開。アート・デザインの力で現実社会の課題解決に取り組む実践的な教育を行っています。
通信教育課程(5学科20コース)は1998年に開設された、日本初の4年制芸術大学通信教育課程です。全国・海外から多様な学生が学ぶ日本最大級の通信制芸術大学として、年齢や経験を問わず芸術を学べる環境を提供しています。
所在地:〒606-8271 京都府京都市左京区北白川瓜生山町2-116
URL:https://www.kyoto-art.ac.jp/
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