2026年9月3日(木)
- プレスリリース
京都芸術大学、開学50周年に向けた記者発表会を開催。新たな使命「世界中の創造力を解放する。」、新愛称「KUA(クア)」、新ロゴを公開し、次の50年に向けた新たな挑戦を始動
〜新プロジェクト「Sakamoto Ryuichi Lab at KUA」構想の始動を記念した「坂本龍一の意志を受け継ぐ音楽家たち」による一日限りのスペシャルライブを実施〜

京都芸術大学(京都市左京区/学長:佐藤 卓)は、2026年9月2日(水)、グラングリーン大阪「VS.」にて、2027年の開学50周年に向けた記者発表会を開催しました。
本発表会では、新たなミッション(使命)「世界中の創造力を解放する。」と新CI(コーポレート・アイデンティティ)に加え、故・坂本龍一氏の意志を継ぐ新プロジェクト「Sakamoto Ryuichi Lab at KUA - A laboratory for experimentation across sound, art, technology, environment, and society.」の始動を発表しました。京都芸術大学キャンパスにある「瓜生山荘」を拠点に、2027年春の着工、2028年のスタジオ運用開始を目指します。
当日は、本学学長の佐藤 卓、学校法人瓜生山学園 理事長の徳山 豊による発表に加え、本学副学長の小山 薫堂をモデレーターに、建築家の青木 淳氏、品川 雅俊氏、音楽家の原 摩利彦氏が、
「Sakamoto Ryuichi Lab at KUA」を通じたこれからの大学教育や創造の在り方について意見を交わすトークセッションを行いました。記者発表後には、「坂本龍一の意志を受け継ぐ音楽家たち」をテーマに、原 摩利彦氏、蓮沼 執太氏、東北ユースオーケストラが出演する一日限りのスペシャルライブも開催しました。
本学は、開学50周年を新たなスタートと位置づけ、これからの芸術教育と大学の役割を改めて見つめ直すとともに、誰もが持つ「創造力」を解き放ち、人と社会をつなぐ新たな実践を世界へ広げてまいります。
開催概要
名称:京都芸術大学 開学50周年記念プロジェクト記者発表会
日時:2026年9月2日(水)
会場:グラングリーン大阪「VS.」
主催:学校法人 瓜生山学園 京都芸術大学
登壇者:佐藤 卓(京都芸術大学 学長)/ 徳山 豊(学校法人瓜生山学園 理事長)/ 保持 壮太郎(Sakamoto Ryuichi Lab at KUA プロジェクトプロデューサー)/ 小山 薫堂(京都芸術大学 副学長)/ 青木 淳(建築家)/ 品川 雅俊(建築家)/ 原 摩利彦(音楽家)/ 蓮沼 執太(音楽家)/ 東北ユースオーケストラ
プログラム:開学50周年に向けた新たな使命・新愛称「KUA」・新ロゴ発表 /「Sakamoto Ryuichi Lab at KUA」構想発表/トークセッション / SPECIAL PERFORMANCE
開学50周年を前に、新たな使命「世界中の創造力を解放する。」を掲げる

佐藤は「創造力は、一部の芸術家やデザイナーだけの特別な才能ではなく、すべての人の中にあるものであり、本来、自然と人、あるいは異なる価値観同士を"つなぐ"力である」という考えを示した上で、学びと実践を社会、そして世界へ広げていく姿勢を掲げました。その後、学生たちに日頃伝えているという言葉として、「本気で遊んでほしい。夢中になること、没頭することを恐れないでほしい」というメッセージを送りました。
新たな愛称「KUA(クア)」と、新ロゴを発表
あわせて、新たな愛称「KUA」と新ロゴを発表しました。「KUA」は、「KYOTO UNIVERSITY OF THE ARTS」の略称であると同時に、瓜生山学園全体を表す「KYOTO URYUYAMA ACADEMY」の略称でもあります。大学とその母体である学園、これまで別々に語られてきた二つの存在を一本につなぐ、アイデンティティとして機能する言葉です。世界中の学生、研究者、クリエイターが、専門や立場を越えて出会い、学び合うための"共通言語"として位置づけています。
新ロゴは、これまでの「一滴」のシンボルマークと「KUA」の文字を組み合わせたデザイン。「一滴」のマークは一人ひとりの違いと生命の多様性を象徴し、KUAの「U」の下に設けた高台は、大学が一人ひとりの可能性を受け止める「器」でありたいという願いを表現しています。
新ロゴ、ミッションの全文、およびあわせて策定した行動指針「おもう」「いどむ」「あそぶ」「こえる」の詳細は、開学50周年特設サイトにて公開しています。
▼京都芸術大学 開学50周年特設サイト
https://www.kyoto-art.ac.jp/info/kua50th/

50周年のシンボルプロジェクト「Sakamoto Ryuichi Lab at KUA」構想を発表

続いて、学校法人瓜生山学園 理事長の徳山 豊が登壇。新たな使命について、創設者・徳山詳直が掲げた「藝術立国」を今の時代に受け継ぐものとし、「私たちの新しい使命である『世界中の創造力を解放する。』という言葉は『藝術立国』を今の時代に受け継ぎ直すものだと考えています」と語りました。この理念が目指すのは芸術の力による平和への貢献であり、その根底には自己への愛、他者への愛、そして生きとし生けるものすべてへの愛があると述べました。また、「創造力を解放する」という言葉について、好き勝手に表現することを意味するのではないと強調。自分の思いを表現すると同時に、他者の思いにも耳を傾け、多様な価値観と出会いながら、自らの考えを更新し続けていくことこそが、本当の意味だと語り、その実践を象徴するプロジェクトとして故・坂本 龍一氏を起点とした「Sakamoto Ryuichi Lab at KUA」構想を発表しました。
2028年運用開始へ。瓜生山荘を、次の創造が生まれる「生きた場所」へ

徳山理事長に続き、「Sakamoto Ryuichi Lab at KUA」のプロジェクトプロデューサーの保持 壮太郎氏が登壇し、具体的な構想を紹介しました。
活動の拠点となるのは、京都芸術大学のキャンパスにある「瓜生山荘」。Studio、Archive、Libraryを備え、坂本氏が遺した作品や資料、機材、楽器を保存するだけではなく、制作と研究、専門家と学生が交わり、新たな創造が生まれる場所へと整備します。保持氏は、「私たちが受け継ぐのは、坂本 龍一さんの功績だけではありません。既存の領域にとらわれず、異なる分野の人と対話し、学び、実験を重ね、問い続ける。その創造の姿勢そのものを、次の世代へ手渡したいと考えています」とプロジェクトの考えを説明しました。学園内外の共同制作やワークショップを起点に、様々な人や領域とつながりながら世界へと広げていく構想であることも語られました。
建築は青木 淳氏と品川 雅俊氏が担当し、リードアーティストには、坂本氏との共作経験を持つ音楽家の原 摩利彦氏が参画。施設完成前から、アーティストとの共同制作や学生とのワークショップなど、Labとしての活動をスタートしていく予定です。
今後のロードマップとして、2027年春頃にスタジオの着工を予定し、2028年にはスタジオの運用開始、アーカイブおよびライブラリー機能の順次展開を目指すことが明かされました。
坂本龍一エステートより、プロジェクトへの想い
保持氏による構想の紹介に続き、「Sakamoto Ryuichi Lab at KUA」設立に寄せた坂本龍一エステートからのコメントが会場で紹介されました。
坂本は京都を愛し、幾度となくこの地を訪れました。1999年に発表したオペラ《LIFE》の制作では、1980年代からの友人である浅田彰さん、ダムタイプの高谷史郎さんらの協力を得て、「京都会議」と称する集まりを重ね、作品をつくっていきました。その後も寺院を舞台とした実験的なライブなど、京都にゆかりのある芸術家や研究者との協働をつづけ、その関心と活動は音楽を超えて多様な領域へと広がりました。2012年頃には京都・九条山に生活と創作の拠点を構えようと、建築家の青木 淳さんに設計を依頼して具体化を進めていました。この計画は実現しませんでしたが、京都とのつながりはその後も途切れることなく、亡くなるまでさまざまな分野の人々との交流が続きました。
京都芸術大学との交流も長く、京都芸術劇場 春秋座では、2005年に高谷史郎さんとライブを上演し、2010年には『スコラ 坂本龍一 音楽の学校』夏期特別講座を公開収録しています。また2010年に始まった「マラルメ・プロジェクト」では、当時、京都芸術大学特任教授・舞台芸術研究センター所長であった渡邊守章さんと、同大学大学院長の浅田彰さんが企画を手がけ、渡邊さんが構成・演出を、高谷史郎さんが映像・美術を、坂本が音楽・音響を担当。足かけ3年におよぶ共創が行われました。
かねてより、京都芸術大学では音楽学科を設ける構想があり、当時の徳山 詳直理事長から坂本へ教授就任の申し出もありました。これも実現には至りませんでしたが、こうした話が交わされていたこともまた、坂本と同大学との長い関わりを物語っています。坂本龍一の没後、私たちは、彼が遺した作品や資料、機材、楽器などの知的・物質的遺産を、広く共有し、未来の創造へとつなげていくための取り組みを進めています。その一つが、すでに発表されている株式会社デジタルガレージとのスタジオプロジェクトです。それと並行し、長く関係を育んできた京都芸術大学に、坂本が遺した機材や楽器を、次の世代の学びや創造のために生かすことができないかと相談しました。この対話から、「Sakamoto Ryuichi Lab at KUA」プロジェクトは始まりました。
坂本は音楽だけの人ではありませんでした。美術、哲学、文学、科学、テクノロジー、環境、社会。さまざまなものに好奇心を持ち、学び、考え、実験し、実践し続けた人でした。その作品や資料、思想、問いを保存するだけでなく、教育と研究の現場で次の世代が読み直し、新たな表現へとつなげていくことが大切だと考えています。「Sakamoto Ryuichi Lab at KUA」が、学生、研究者、アーティストたちが自由に学び、考え、実験し、そこから新しい問いや表現が生まれていく場となることを強く願っています。』
――坂本龍一エステート
副学長 小山 薫堂×青木 淳氏×品川 雅俊氏×原 摩利彦氏によるトークセッション
「Sakamoto Ryuichi Lab at KUAを通じた『創造力の解放』」について

発表会後半では、京都芸術大学 副学長の小山 薫堂をモデレーターに、建築家の青木 淳氏、品川 雅俊氏、音楽家の原 摩利彦氏による「Sakamoto Ryuichi Lab at KUAを通じた『創造力の解放』」をテーマに、トークセッションを実施しました。
「Sakamoto Ryuichi Lab at KUA」を物理的な場づくりだけで捉えるのではなく、坂本氏が遺した問いや創作の姿勢を起点に、人が出会い、考え、試し、そこから次の活動を生み出していく。その営み全体を「Lab」としてどのように育てていくのか、それぞれの立場から意見を交わしました。
【建築家】青木 淳氏

坂本氏が生前、京都・九条山に生活と創作の拠点を構えようとしていた構想にも関わっていた青木氏。京都を一望できるその土地を坂本氏が気に入っていた理由について、青木氏は、巨大に膨れ上がった都市ではない京都の歴史の深さや"濃密さ"に惹かれていたのではないかと振り返りました。単なる別荘としてではなく、生活の拠点と創作の場を一体化させようとしていたその構想は実現には至りませんでしたが、その思想は今回の瓜生山荘へと受け継がれています。建築のあり方についても、青木氏は「建築とは、完成しないものだと思っています」と語り、活動が先にあり、建築がその展開に寄り添いながら並走していく形こそが理想だという考えを示しました。核となる部分は閉じず、外に向かって開かれた建築を目指したいと語りました。
【建築家】品川 雅俊氏

品川氏は、Labの拠点となる瓜生山荘を実際に訪れた際の印象を紹介。もとは住宅として建てられながら大学の会議の場としても使われてきたという、その二面性が生む独特の緊張感に触れ、何かを考え続けたくなるような場所だと語りました。長い年月をかけて手が加えられ続けてきたこの建物を、保存するためではなく、これからも使われ、変化し続けていくスタジオへと生まれ変わらせる考えを示しました。アーカイブのあり方についても、品川氏は「使っていくアーカイブこそ、新しく面白い」と語り、資料をただ保存し愛でるのではなく、若い世代が実際に手を触れ、自らの創造につなげていくことこそがこのプロジェクトの挑戦だと述べました。
【音楽家】原 摩利彦氏

坂本氏との共作経験を持ち、本プロジェクトのリードアーティストを務める原氏。自身が音楽家を志すきっかけとなった坂本氏のトリオツアーから、今年でちょうど30年が経つという巡り合わせに触れながら、坂本氏が遺した機材や作品を学生とともに見つめ、教えるのではなく共に考えていきたいという思いを語りました。アーティストが創作に没頭し、我を忘れる瞬間・音楽が出来上がる瞬間を、学生に間近で見てもらいたいとも述べました。このLabについて原氏は、坂本氏が提唱していた「コモンズ」であるべきだと語り、誰かが囲い込むのではなく、多様なアーティストに開かれた場でありたいという考えを示しました。
原 摩利彦氏×蓮沼 執太氏×東北ユースオーケストラ
「坂本龍一の意志を受け継ぐ音楽家たち」による一日限りのスペシャルライブを開催
記者発表会後には、「Sakamoto Ryuichi Lab at KUA」構想の始動を記念し、「坂本龍一の意志を受け継ぐ音楽家たち」による一日限りのスペシャルライブを開催しました。
【演奏楽曲】
「太陽と子どもたち(short ver.)」/原 摩利彦・東北ユースオーケストラ
「Aqua」/東北ユースオーケストラ
「improvisation」/原 摩利彦・蓮沼 執太
「Kizuna World」/原 摩利彦・蓮沼 執太・東北ユースオーケストラ




登壇者プロフィール
・佐藤 卓
京都芸術大学学長/グラフィックデザイナー。株式会社TSDO代表。商品パッケージやポスターなどのグラフィックデザインの他、施設のサインや商品のブランディング、企業のCIなどを中心に活動。代表作に「ロッテキシリトールガム」「明治おいしい牛乳」パッケージデザイン、「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」グラフィックデザイン、「金沢21世紀美術館」「国立科学博物館」シンボルマークなど。また、NHK Eテレ「にほんごであそぼ」アートディレクター、「デザインあ」「デザインあneo」総合指導、21_21 DESIGN SIGHT館長を務め、展覧会も多数企画・開催。毎日デザイン賞、芸術選奨文部科学大臣賞、紫綬褒章他受賞。
・徳山 豊
学校法人瓜生山学園理事長。ボストン大学経営学部卒業。学校法人京都国際観光文化学院理事長、学校法人瓜生山学園専務理事等を経て、現在学校法人瓜生山学園理事長および学校法人東北芸術工科大学副理事長を務める。
・小山 薫堂
放送作家/脚本家/京都芸術大学副学長。京都の料亭「下鴨茶寮」主人。1964年熊本県天草市生まれ。日本大学芸術学部放送学科在籍中に放送作家としての活動を開始。「料理の鉄人」「カノッサの屈辱」など斬新なテレビ番組を数多く企画。脚本を担当した映画「おくりびと」で第32回日本アカデミー賞最優秀脚本賞、第81回米アカデミー賞外国語部門賞を獲得。執筆活動の他、2025年大阪・関西万博のテーマ事業プロデューサーなどを務める。熊本県のPR キャラクター「くまモン」の生みの親でもある。
・保持 壮太郎
クリエイティブ・ディレクター、コピーライター。東京大学工学部卒業後、2004年電通入社。2022年よりクリエイティブ・ディレクターズ・コレクティブ(つづく)に参画し現在に至る。主な仕事に、「坂本龍一|音を視る 時を聴く 」展 #わたしが知らない坂本龍一、「Ryuichi Sakamoto & Tin Drum | KAGAMI+」プロモーション、STUTS ✕ 坂本龍一「虎ノ門広告祭公式アンセム」企画プロデュース、大塚製薬ポカリスエット2020-2025ブランドキャンペーン、麻布台ヒルズ開業プロモーション、大阪・関西万博誘致など。KAGAMI+をきっかけに生まれた坂本龍一氏原案の絵本『イカのほし』の文を担当。
・原 摩利彦
京都大学教育学部卒業。静けさの中の強さを軸に、ピアノを中心とした室内楽やフィールドレコーディング、電子音を用いた音響作品を制作する。2020年にBeatink(Beat Records)よりアルバム『PASSION』、2021年に『ALL PEOPLE IS NICE』をリリース。アーティストグループ「ダムタイプ」にも参加。野田秀樹、名和晃平、田中泯、森山未來などの舞台音楽を担当。映画『国宝』(李相日監督)、『流浪の月』、NHKドラマ『デフ・ヴォイス』をはじめ、2026年10月公開の西川美和監督映画『わたしの知らない子どもたち』などの音楽を担当。『国宝』では主題歌『Luminance』(feat. 井口理)も手掛ける。東京2020オリンピック開会式追悼パート、羽生結弦アイスショー『Prequel : Before the WHITE』を担当するなど活動は多岐にわたる。第49回日本アカデミー賞最優秀音楽賞および主題歌賞など受賞多数。
・青木 淳
建築家。1956年神奈川県生まれ。東京大学大学院修士課程修了後、磯崎新アトリエを経て、1991年に青木淳建築計画事務所を設立。2020年にASへ改組。京都市京セラ美術館館長、東京藝術大学名誉教授。2025年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館キュレーター。
・品川 雅俊
建築家。1982年東京都生まれ。東京藝術大学大学院修士課程修了後、2008年から青木淳建築計画事務所に在籍し、2020年のASへの改組以降はパートナー。現在、東京都立大学、東京藝術大学、東京都市大学で非常勤講師を務める。
京都芸術大学(KUA)について
京都芸術大学は、通学課程と通信教育課程を併せ持ち、約24,000名が在籍する国内最大規模の総合芸術大学です。2027年に開学50周年を迎えます。
通学課程(芸術学部10学科24コース)では、「社会と芸術」の関わりを重視し、企業や自治体と連携した「社会実装プロジェクト」を年間100件以上展開。アート・デザインの力で現実社会の課題解決に取り組む実践的な教育を行っています。
通信教育課程(5学科20コース)は1998年に開設された、日本初の4年制芸術大学通信教育課程です。全国・海外から多様な学生が学ぶ日本最大級の通信制芸術大学として、年齢や経験を問わず芸術を学べる環境を提供しています。
所在地:〒606-8271 京都府京都市左京区北白川瓜生山町2-116
URL:https://www.kyoto-art.ac.jp/