卒業生紹介
京都芸術大学を卒業し、活躍している先輩を紹介します。
二ノ田桜子さん
株式会社コナミデジタルエンタテインメント モーションデザイナー人と関わり、手と心を動かす。
キャラクターに、生命が宿るまで。
オープンキャンパスで感じた、雰囲気のよさ。ここなら、好きなことが広がっていく気がした。
大学に入るまでは、どんなことに興味があったんですか?
- 二ノ田
- 子どもの頃から絵を描いたり、ものをつくったりすることが好きでした。無料ソフトを駆使して、アニメーションをつくって遊んだりもしていましたね。
子どもの頃からもう、ソフトを使ってアニメーションを?
- 二ノ田
- 兄姉の影響もあって、パソコンやソフトに触れるのが好きでした。でも高校生の頃は、あまり将来性までは考えていなくて、とにかく好きなことをやりたい、得意なことを伸ばしたいと思っていました。
好きなこと、得意なことを。
- 二ノ田
- そうするとやっぱり、イラストやアニメーションの技術を学べる場所がいいなと思って。私は沖縄県出身なのですが、視野を広げるためにも、地元を出て学びたい気持ちがありました。県外の大学を探す中で見つけたのが京都芸術大学です。
全国にあるたくさんの大学の中から、京都芸術大学に辿り着いたんですね。
- 二ノ田
- 京都という立地にも惹かれていましたし、高校にあったパンフレットやインターネットで調べたときに、大学の雰囲気が一番楽しそうに見えて。オープンキャンパスに行ってみたら、やっぱりすごく盛り上がっていたんです。
盛り上がっていた?
- 二ノ田
- 学生も先生もすごく活気に溢れていて、楽しそうな雰囲気で。黙々と一人で制作に向き合いたいクリエイターさんもいると思うんですけど、私はいろんな人と話しながら作品をつくっていくほうが好きなので、その雰囲気が合っているかもって、そのとき思いました。
学科もその時点で決めていたのですか?
- 二ノ田
- イラストを学びたい気持ちがありつつも、アニメーションやいろいろなことに挑戦したかったんです。その希望に一番近かったのが情報デザイン学科だったので、そこに絞って受験を決めました。
芸術大学に進学することについて、親御さんはどのように?
- 二ノ田
- 「まずは県内でがんばってみたら?」というのが最初の意見でした。やっぱりお金はかかりますよね。でも、県内だと学べることも絞られてしまう気がして、わがままを言って飛び出してきた感じです(笑)
飛び出して来た(笑)
- 二ノ田
- でも実際には、オープンキャンパスに一緒に行ってくれました。そこで学校の雰囲気を見てもらったら、快く背中を押してくれたんです。やっぱりこの大学の雰囲気のよさは、印象強かったのかなと思います。
ミリ単位の線を引く授業。表現の土台づくりから始まった。
実際に入学してから、どんな風にデザインを学んでいったのでしょうか?
- 二ノ田
- イラストレーションコースを選択して、最初からデジタル技法を教えてもらえると思いきや、5mmの線を引くだけの授業から始まりました。
5mmの線を引く授業!
- 二ノ田
- 3mmや5mmの線を、ぴったり手書きで引けるようになるまでひたすら練習しました。もともとデジタルツールに慣れていたので、デジタルを使いたい気持ちももちろんあったのですが、1年目はみっちりアナログ技法の課題をやりました。今では、それが表現の基盤になっていると感じています。
表現の土台をつくる授業だったんですね。
- 二ノ田
- アナログって、一瞬で描けないし、一瞬で消せない(笑)
たしかに、コマンド+Zも使えない(笑) デジタルだと一瞬で作業が進む良さもありますが、アナログで時間と手をかけて描く力をつけていったんですね。
- 二ノ田
- まさにそんな1年目でした。すごく大きいキャンバスに絵を描く授業が2週間続いて、仲間たちと時間を合わせて毎日描いたこともありました。
みんなで1枚の大作をつくるようなイメージ?
- 二ノ田
- つくっているのはそれぞれの作品なのですが、みんなで夜まで学校に残って、あぁだこうだ言いながら作品をつくっていったんです。
それは自主的に?
- 二ノ田
- そうです。誰に言われたわけでもなく、自分たちで自然と集まっていました。それくらい、横のつながりが強かった。授業の中でもコミュニケーションを取る機会がすごく多かったですね。
例えば、どんな場面がありましたか?
- 二ノ田
- 作品を発表するプレゼンテーションの授業では、他の学生の作品について、自分の意見を伝えることもありました。もともと、自分の気持ちや意見を言語化することに苦手意識があったのですが、少しずつ鍛えてもらえたと思います。大変だったけど、楽しい1年間でした。
入学前に思い描いていた、人と関わりながら作品をつくっていける環境があったんですね。
- 二ノ田
- 本当にそうでした。
イラストの根っこにある企画と、それを人に伝える力を磨き上げていく。
1年目から濃い体験をされていますね。2年生ではどんなことを?
- 二ノ田
- 2年生になると、イラストやアニメーションだけではない、ブランディングや企画を立ててプレゼンする授業が増えました。イラストレーションを活かすための企画といいますか、イラストが見た目だとすると、企画は中身や根っこの部分。そこを考える力を学んでいきました。
描くだけじゃなくて、根っこの企画から。
- 二ノ田
- グループワークが多くて、そこでもやっぱりコミュニケーションが必要で、役割分担も自分たちで決めていました。意見がぶつかることもあったりして、チームで物事を進める大変さを学びましたね。
二ノ田さんはどんな役割を?
- 二ノ田
- 私はもともと企画を考えるよりも、手を動かすほうが早かったので、恐れ多くもビジュアルを担当させてもらっていました。
全員デザインを学んでいる中でビジュアルを担当するって、すごいです!
- 二ノ田
- あとは、プレゼンの真ん中に立ってチームの考えを発表させてもらう場面もありました。
プレゼンの真ん中に。かっこいいですね。
- 二ノ田
- 考えを言語化するのは自分の課題でもありましたが、緊張しながらも、でも臆せず人前で話す力は、入学してから身についたと思います。
1〜2年生でいくつも場数を踏んだのですね。プレゼンが苦手じゃなくなるきっかけはあったのでしょうか?
- 二ノ田
- 発表の場が多かったですし。みんな、聴こうとしてくれる人ばかりだったからかな。
いい環境だなぁ。みんなが聴く姿勢を持っていたんですね。
- 二ノ田
- 先生たちも親身になって、「それは伝わらないよ」と率直に言ってくれますし、同級生のみんなからもフィードバックをもらえる機会がすごく多かったと思います。
みんなとの思い出を、ひとつながりのアニメーション作品に。
チームで動くことが多い中で、印象的だったエピソードはありますか?
- 二ノ田
- 学祭に合わせてひらかれる学生展に向けて、自主的に映像作品を企画しました。
自分から企画を!
- 二ノ田
- 同級生みんなの作品をつなげて、1本のアニメーション映像をつくろうというものでした。
企画を立てたきっかけは?
- 二ノ田
- 高校生なら卒業アルバムがあるのに、大学生ってそういうものがないなって。せっかくなら、みんなで一つの作品をつくって思い出を残せたらなと思ったのがきっかけでした。
みんなと思い出に残せるものを。
- 二ノ田
- それを展示して見てもらえるのも面白いなと思ったので、企画してみました。
どんな作品になったのですか?
- 二ノ田
- 大学の入り口から、自分たちがいつも勉強している教室まで歩く映像を撮って、それを1枚ずつのフレームに切り取って、みんなに渡すんです。その1枚1枚を、それぞれの好きな世界観で作品にしたものをつなげました。みんなが歩いてきた道のりをイメージして、ひとつながりのアニメーションにしていきました。
みんなの世界観や大学生活の風景が、アニメーションとしてつながっていくんですね。
- 二ノ田
- みんなのイラストをぜひ見てほしくて。必死でしたね。
やってみて、どうでしたか?
- 二ノ田
- イラストを描く以外にも役割分担を決めてお願いしたり、期日までにみんなのデータを集めたり、取りまとめるのも大変でしたね。
たしかに大変そうです。
- 二ノ田
- はじめは、企画の意図を伝えるのも難しかったです。でも、みんなが理解してくれて、しっかり取り組んでくれる人ばかりだったので、良い雰囲気でやり遂げられたなと思います。本当にアルバムみたいな冊子にして、人数分、製本してみんなに渡すことができました。
大変なことがあっても、乗り越えてちゃんと形に残せたのがすごいですね。
自分を見つめる課題の日々が、将来への一歩につながった。
3年生になると、どんなことを?
- 二ノ田
- 1年かけて、ポートフォリオをつくっていきました。
ポートフォリオを。
- 二ノ田
- はい。3年生になると、大きい課題に時間をかけて取り組むことが増えました。その多くが「自分とは何か?」を表現する内容で、自然と就活に向けた取り組みになるようなものでした。
自分を見つめるって、難しいことでもありますよね。
- 二ノ田
- 私は、とにかく友人に自分のこれまでの印象を聞いて、自分が思う自分と照らし合わせていきました。
そこでも友だちに協力してもらって。
- 二ノ田
- 名刺をつくる授業もあって、私はマッチ箱を使って自分の似顔絵が浮かび上がるような作品をつくりました。「周囲を巻き込む火付け役でありたい」という意味を込めて(笑)
面白い自己紹介ができそうです(笑)
- 二ノ田
- みんなの反応は微妙だったんですけど(笑)。でもそうやって、自分を見つめ直してデザインやプロダクトに落とし込む、という授業がいくつもありました。
自然と就活の準備ができるんですね。就活はどんな風に進めていったのでしょうか?
- 二ノ田
- やりたいことが多くて、逆に何をしたらいいのかわからないと悩んだ時期もありました。でも、これまでやってきたアニメーションやイラストを描くことがやっぱり好きで、その技術を活かせる仕事を探しようと決めました。
やっぱり、好きなことを続けたいと思ったんですね。
- 二ノ田
- 業界は絞らずに、映像や制作に関わるいろんな会社をチェックして、企業の方にポートフォリオを見てもらえるように、いろんなところに掲載してもらったりもしました。その中で、コナミから声をかけていただいたんです。
すごい。作品を通して出会えたんですね。
- 二ノ田
- 学科の授業でも、ゲームを企画することがあって、その講師がコナミの社員の方だったんです。
ご縁を感じますね。
- 二ノ田
- 講師の方とお話することも多かったので、ゲーム業界を身近に感じられる場面もあり、コナミとのつながりを感じて入社を決めました。いろんなことをやりたいと思っていたので、ゲーム事業以外のお仕事の話や、ゲーム製作でも3DからUI、エフェクトまで、いろんな分野のデザインがあることに魅力を感じました。
まさにぴったりな場所に出会えたんですね。
- 二ノ田
- 本当に、良いご縁をいただけたと思います。
キャラクターに、命を吹き込むアニメーションを。
就職も無事に決まって、4年生の卒業制作はどのように進んでいったのでしょうか?
- 二ノ田
- 卒業制作では、キャラクターに命を吹き込むようなアニメーションをやりたいと思っていました。
キャラクターに、命を吹き込む。
- 二ノ田
- キャラクターの感情を、動きと表情で表現する研究をしました。色相環のように、感情にも段階や種類があるそうなんですね。細かな感情の機微を、目や口、手ぶり、髪の毛や衣装で表現することの難しさと面白さを実感しながら、それが伝わるかどうかを実験できたことがすごく楽しかったです。
感情の表現と、深く向き合う研究ですね。
- 二ノ田
- キャラクターの繊細な動きも、ぜんぶ手描きだったのでその技術の足りなさに悩んだこともありました。でも、ゼミのみんなや先生方から的確にフィードバックをもらってブラッシュアップできたのがよかったなと思います。
卒業制作展の手応えはどうでしたか?
- 二ノ田
- キャラクターのデザインへの評価だけじゃなくて、「繊細な感情もこういう動きで表現できるんだ」という感想をいただけたのが嬉しかったですね。
学内で賞を受賞されたと聞きました。
- 二ノ田
- はい、コース特別賞をいただきました。すっごく嬉しかったですね。
どんなところが評価されたと思いますか?
- 二ノ田
- 企画の中身を見てもらえたのかなと思います。企画に込めた意図や、事前に調べた心理学的な知識や情報も含めて、中身をつくり込んだのが伝わったのかなと。高校生の私だったら、すぐに手を動かしてしまっていたと思うんです。
手を動かす前の積み重ねが、結果につながったんですね。
一人で完結させた作品は一つもなくて、ずっと人と関わりながら何かをつくってきた。
今日改めて、4年間をふり返って、この大学でよかったと思うことはありますか?
- 二ノ田
-
一人で黙々と作品をつくる道もあったし、それが合う人もいると思います。でも私の場合は、いろんな人と関わりながら、コミュニケーションを通じて一つのものをつくる力をつけることができたのが大きかったですね。
卒業制作も、私だけでつくった作品じゃないなと今でも思っていて。最初から最後まで、一人で完結できた作品はなくて、常に周りの人と一緒につくってきたのが私だなと思います。
ずっと一貫して、人と関わり続けてきた4年間ですね。
- 二ノ田
-
今の仕事でも、社内外の方と制作を進める中で、何が良くて何が足りないのかを言語化して伝える力が求められます。そこは大学での経験が活きていると感じます。
もともとはイラストやアニメーションの技術を磨く目的で入学したのが、“中身”の部分やロジカルに物事を伝える力を鍛えられたのが、すごくよかったです。
二ノ田さんは、この大学の環境をフルに活かされていますね。今のお仕事についても、すこし教えてもらっていいでしょうか?
- 二ノ田
- はい。今はモーションデザイナーという、キャラクターに表情や動きをつけて、命を吹き込む仕事をしています。
卒業制作のテーマともつながっていますね!
- 二ノ田
- これまで、3Dには深く関わってこなかったのですが、入社してからアニメーションへの興味が強まって、希望して携わらせていただいています。本当にいろんなことに挑戦させてもらえる会社ですし、ゲーム業界自体も新しいチャレンジが次々と生まれている業界なので、モチベーションにつながっています。
楽しみながら新しいことに挑戦しているんですね。仕事を通して、やりがいや喜びを感じるのは、どんなときですか?
- 二ノ田
- 社会に出てから、「ユーザーが何を求めているか?」を考えながらものづくりと向き合うようになりました。そんな中で、やっぱりユーザーのみなさんから良い反応をもらえたときは嬉しいですね。
人気ゲームタイトルも多いので、ユーザーさんの反応や反響はとても大きそうです。
- 二ノ田
-
それを楽しみに、「どんな反応をしてくれるかな?」と考えながらつくることが面白いですし、お客様の視点に立ってキャラクターデザインの着想を得たりしています。
日ごろからSNSなどでも、遊んでくださっているみなさんの声に触れていて、それを「次の製品にどう活かすか?」を考えるのもすごく楽しくて、やりがいのある仕事だなと思います。
さいごに、これから大学へ進む高校生のみなさんに向けて、一言をお願いします!
- 二ノ田
-
何でもいいから、好きなことはやめない、ということが大事だと思います。高校生の頃は、「これは将来につながらないかも」と思ってしまうこともあるかもしれない。でも、社会に出てみると、思っていたのとは違う形で活きてくることもたくさんあります。
だから、やっぱり自分が好きだなって思えること、やりたいと思うことは大切にしてほしいなと思います。
とても素敵なお話を、ありがとうございました!
- 卒業年度・学科
- 2021年
情報デザイン学科 卒業
- 出身高校
- 沖縄県立小禄高校
- プロフィール
- 卒業制作『えもエモ~ション』がコース特別賞を受賞。2021年、株式会社コナミデジタルエンターテイメントに入社。モーションデザイナーとして『パワプロ』シリーズ、『プロ野球スピリッツA』などのキャラクターに生命を吹き込んでいる。
作品
